日本の高校生の台湾への修学旅行と大学進学が増加する理由

 日本の高校生の修学旅行先として台湾はダントツの人気を誇っている。全国修学旅行研究協会の調査によれば、2018年度の海外修学旅行先として台湾には5万7,540人(357校)が訪れていて、2位のアメリカ(2万9,631人、225校)や3位のシンガポール(2万8,295人、202校)を大きく引き離している。

 台北駐大阪経済文化弁事処の李世丙・処長は「帰国した生徒らの評判が良いことに起因すると分析」していると中央通信社(下記)が伝えている。

 文部科学省は1986年(昭和61年)から隔年で「高等学校等における国際交流等の状況について」を発表している。2004年度はたった1,108人(16校)にすぎなかった台湾へは、2011年の東日本大震災を境に急激に増えはじめ、2013年度は2万0,829人(140校)、2015年度は3万5,775人(232校)、2017年度は5万3,603人(332校)と増え続けている。

 また、本誌の昨年12月24日号で取り上げたように、群馬県では高校生に台湾の大学への進学者が増えていることも、台湾修学旅行の増加と無関係ではない。大きな理由は、李世丙・処長も指摘するように、台湾は「日本からの距離が近いことや治安が良いこと、学費や生活費が安いこと」に加え、日本と近代50年の歴史を共有していることも挙げられるだろう。

 それに、台湾の人々の親日感情が良いことも挙げられるだろう。日本台湾交流協会の世論調査(2018年度対日世論調査)では、台湾の人々が「最も好きな国」は中国(8%)やアメリカ(4%)、韓国(3%)に大きく水を空けて日本が59%でダントツだ。子どもを送り出す親にとっては「安・近・短」も重要だし、治安の良さや親日感情も大きな判断材料なのだ。

 安・近・短だけなら韓国がある。日本との歴史も共有する。確かに2000年前後の10年ほどは韓国への高校生の修学旅行は3万人以上で常に1位か2位を占めていた。しかし、治安の悪さや反日感情の高まりによって修学旅行先として敬遠されはじめ、2013年には2万人を割って1万2,037人となり、2015年は2,793人に急落、さらに2017年は1,537人となり、台湾と対照的な動きを示している。中国も韓国とほぼ同じような動きをたどっていて、2017年は3,356人ほどとなっている(文科省調査)。

 今後は台湾の大学への進学が増加することと相まって、李世丙・処長への指摘のように「さらに台湾への修学旅行が増えるだろう」と見込まれる。

◆全国修学旅行研究協会:2018(平成30)年度 全国公私立高等学校の海外修学旅行実施状況 http://shugakuryoko.com/chosa/kaigai/2018-03-joukyou1.pdf

—————————————————————————————–台湾、日本の高校の修学旅行先として人気 駐大阪代表「今後も増える」【中央通信社:2020年1月9日】

 (大阪中央社)台北駐大阪経済文化弁事処の李世丙(りせいへい)処長は、台湾が日本の高校の人気修学旅行先となっていることについて、帰国した生徒らの評判が良いことに起因すると分析し、今後さらに台湾への修学旅行が増えるだろうと自信を示した。

 中央社のインタビューに応じた李氏は、統計によれば、日本では2018年、約17万人の高校生が修学旅行で海外渡航し、そのうち約6万人が台湾を訪れたと説明。楽しかったという話を聞いた他の学校が訪台するという循環が起こり、目的地に台湾を選ぶ比率が自然と増加するとの考えを示した。

 また、修学旅行が初めての海外旅行だという生徒も多く、最初の訪問先で良い印象を抱くことができれば、大人になったとき「再訪したくなるはず」と述べ、観光振興効果が期待できることも指摘した。

 このほか、近年、高校卒業後に台湾の大学に留学する人が増えていることにも言及。日本からの距離が近いことや治安が良いこと、学費や生活費が安いことなどをメリットとして挙げ、4年間台湾で学べば「中国語だけでなく、英語も進歩し、社会人になった時、就職に有利だ」と、日本人の台湾留学を歓迎した。

(魏紜鈴/編集:塚越西穂)

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