昨年8月27日、自民党からの呼びかけにより台湾の民進党の与党同士による初の与党版「外務・防衛2プラス2」がオンラインで開催された。12月24日には第2弾として「外務・経産2プラス2」を開催し、日台双方の国会議員が意見を交換するという画期的な試みだったと言ってよい。
この与党版2プラス2を受け、1月18日、自民党からは党政調会長特別補佐で防衛副大臣をつとめた中山泰秀(なかやま・やすひで)前衆議院議員と田畑裕明(たばた・ひろあき)総務副大臣(4期)、民進党からは王定宇(2期)、趙天麟(3期)、林静儀(2期)の各立法委員が参加し、オンラインで「安全保障パートナーシップフォーラム」を開催し、双方の政策について協議した。
台南市選出の王定宇議員は、本会役員とも交流する、外交・国防委員会に所属する外交問題のエキスパート。高雄市選出で台湾団結聯盟に所属していたことがある趙天麟議員も本会役員と交流を続けており、本会の「2020年 総統・立法委員選挙視察ツアー」では選挙戦を視察し意見交換したことがある。林静儀議員は、昨年10月23日の罷免投票でリコールされた台湾基進所属の陳柏惟・立法委員の後継を決める1月9日に行われた台中市第2選挙区の補欠選挙で、中国国民党候補の顔寛恒・元立法委員を破って当選したばかりの話題の産婦人科医。
趙天麟議員は、台湾と日本は相互に日本関係法と台湾関係法を制定するべきだと提案し、法案には「各分野での協力強化や各分野での平時の意思疎通のプラットフォーム立ち上げ、各分野や各部会(省庁)の対話レベル引き上げ、両国の在外職員の待遇や特権の向上などの内容を含むことを提案した」(中央通信社)という。
産経新聞は「双方は経済安全保障やフェイク(偽)ニュース対策でも意見交換。次回会合で関係法の具体的な内容を議論するという」と報じている。
実は、王定宇議員にも趙天麟議員にも、2019年に本会が政策提言として発表した「『日台交流基本法』を早急に制定せよ」(日文、中文、英文)を手渡している。
また、中山泰秀氏が岸信夫・衆議院議員を会長とする「日台若手議連」(自由民主党・日本台湾経済文化交流を促進する若手議員の会)に所属していたおり、岸会長からの依頼でこの政策提言を議連所属の全議員に配布したことがあり、中山氏には議連小委員会委員長として何度か検討していただいたことがある。どうやら本会の政策提言が日台議員間に共通の認識を育んでいたようだ。
本会が「政策提言」として発表した「日本と台湾との相互交流の基本に関する法律(略称:日台交流基本法)」では、米国のような台湾への武器供与を求めているのはなく、台湾の蔡英文総統が日本に求めた「台湾と日本の安全保障対話」を、法治国家として、法的根拠を設けることで実現しようと提言している。
その点で、趙天麟議員の「平時の意思疎通のプラットフォーム立ち上げ」という提案は、この日台交流基本法案に沿った提案だ。
産経によれば中山氏は「党内で『台湾関係法』の議論を深めてきた。機は熟している」と応じたというから、次回会合に大いに期待したい。
—————————————————————————————–日台与党関係者が協議、「関係法の同時制定」提案【産経新聞:2022年1月18日】https://www.sankei.com/article/20220118-4A4TZHCFKZPOTP4QUA6343DJ5M/?974078
【台北=矢板明夫】日本と台湾の与党関係者の政策協議が18日、オンライン形式で開かれた。台湾の与党、民主進歩党から立法院(国会に相当)外交・国防委員会所属の王定宇氏ら立法委員(国会議員)3人、自民党から中山泰秀前防衛副大臣と田畑裕明総務副大臣の2人が参加した。
協議は「日台安全保障パートナーシップフォーラム」の初会合として行われ、台湾の趙天麟氏が、日台で同時に「日本関係法」と「台湾関係法」を制定することを提案。関係法に日台間の協力強化や意思疎通の体制整備などを盛り込むべきだと訴えた。前議員で党政調会長特別補佐の中山氏は「党内で『台湾関係法』の議論を深めてきた。機は熟している」と応じた。
双方は経済安全保障やフェイク(偽)ニュース対策でも意見交換。次回会合で関係法の具体的な内容を議論するという。
自民・民進両党では昨年8月と12月、政策担当議員各2人によるオンラインでの「日台与党間2プラス2」を実施している。
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