日台の窓口機関が「食品安全及び食品の輸出入に関する協力に係る覚書」

 2月21日、台湾政府は日本産食品の輸入禁止措置を原則解禁するとした公告を発表しました。馬英九政権が東日本大震災後の2011年5月15日、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の、酒類を除くすべての食品の輸入を禁止してから約11年を経てのことでした。地域ではなく科学的な根拠に基づくべきという日本側の提案が受け入れられ、ようやく解禁されました。

 3月4日には、「日台の食品安全に係る協力を推進するとともに、食品の輸出入が円滑に行われるようにするため」、日台双方の窓口機関の日本台湾交流協会と台湾日本関係協会との間で「食品安全及び食品の輸出入に関する協力に係る覚書」が交わされました。

 すでに、台湾政府は2017年から3年続けて日本産食品の安全性を検査し、いずれも、放射線の被爆線量は基準値よりはるかに低く、健康に影響がないという科学的な検査結果を得ています。

 もちろん、台湾政府からの要請で、解禁する食品には放射性物質検査証明書と産地証明書を提出することになっており、日本からの輸出は安全性を確認した上でのことです。さらに、台湾政府は水際での全ロット検査も行うとしています。

 このように、厳格な措置を取って万全の受け入れ態勢を整えているのですが、加えて「食品安全及び食品の輸出入に関する協力に係る覚書」が交わされました。

 全ロット検査はやはり規制の一環ですし、加えて6カ月に1度の会合を開くなどはいささか屋上屋を重ねる感はぬぐいがたいのですが、かつて台湾政府が日本からの食品輸入の公聴会を開くたびに中国国民党が乱入し、公聴会が開かれなくなったこともあり、台湾政府も中国国民党に付け入られないよう慎重になっているのかもしれません。放射能に関して敏感な台湾の世論にも配慮したのかもしれません。

 そのような台湾側の慎重な姿勢に理解を示し、日本は食品輸出入の円滑化のために協力したようです。下記に「覚書」全文をご紹介するとともに、中央通信社の記事を紹介します。

◆公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会との間の 食品安全及び食品の輸出入に関する協力に係る覚書 https://www.koryu.or.jp/Portals/0/MOU/%E6%97%A5%E5%8F%B0%E9%A3%9F%E5%93%81%E5%AE%89%E5%85%A8%E5%8D%94%E5%8A%9B%E8%A6%9A%E6%9B%B8%EF%BC%88%E6%97%A5%E6%96%87%EF%BC%89.pdf

—————————————————————————————–台湾、日本と覚書 食品安全で協力強化へ【中央通信社:2022年3月4日】

(台北中央社)台湾、日本双方の窓口機関が4日、食の安全と食品の輸出入に関する協力覚書に署名した。衛生福利部(保健省)食品薬物管理署と日本の窓口機関、日本台湾交流協会が発表した。

 覚書は、同協会と台湾側の台湾日本関係協会は、食品表示規定や輸出入通関手続き、検査の状況などに関する情報の交換を促進し、食の安全に関する理解を促すための活動を協力して行うことを定めた。

 また、台日間の食品の輸出入に関する通関の円滑化や、食の安全確保に向け、それぞれに連絡窓口を設け、6カ月に1度会合を開くことなども明記された。

 衛生福利部は同日付の報道資料で、双方の交流深化やウインウインの協力関係構築につながるとして今回の覚書締結を歓迎した。

(江慧?/編集:羅友辰)

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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