の場をお借りしてお礼申し上げます。新しいこの一年におきましても、本年の干支「申年」にちな
んで、『馬上封侯(猴)(喜ばしい出来事がすぐ訪れる意)』、皆様の更なるご発展を心より祈念い
たします。
近年、日台双方の尽力によって、日台関係は多方面にわたって飛躍的な発展を遂げています。特
に昨年11月26日には在台湾日系企業からもご要望の大きかった「日台民間租税取決め」をはじめ
「日台競争法適用に関する了解覚書」、「日台防災覚書」の署名を行う等、ますます双方の関係は
深化しております。
加えて、人的往来の面では2014年に双方合わせて約446万人と過去最高を更新したばかりでした
が、1月末に発表される2015年の数値はその記録を大幅に更新することが確実です。日台間の定期
航空路線も28路線を超え、順調に増加しております。親日、親台という相互の良好な国民感情に支
えられ地方交流もますます盛んになっており、当地に設置されている沖縄県、静岡県、富山県事務
所のほかにも、地方自治体首長同士の往来が大変活発化しており、特色ある地方の魅力が台湾へと
次第に浸透しつつあります。
地方といえば、5年前に発生した東日本大震災を忘れることはできず、震災に際して台湾からい
ただいた物心両面の支援を銘記しなければなりません。14年度に福島県を含む東北6県における外
国人来訪客では、台湾からの来訪者が最も多く、台湾から多くの方々が被災地を訪問していただけ
ることは、今も風評被害に悩む現地の人々にとっては、経済効果だけでなく、心理的にも大いに勇
気づけられるものです。
その一方、昨年5月より日本産食品の規制強化が開始されるに至り、食品輸入規制は風評被害と
闘う被災地にとって深刻な問題となっております。輸入規制は国際ルールに則り、科学的なデータ
に基づいて実施する必要があり、交流協会と致しましても、日本産食品に対する輸入規制の緩和・
撤廃を台湾側ハイレベルに対して繰り返し、粘り強く要望しているところです。皆様のご指導をい
ただきつつ、一刻も早く解決できるよう今後も働きかけを強化する所存です。
世界でも希に見るほど日台は文化面でも共通項が多いと感じますが、交流協会としても、文化面
での交流拡大を重視して取り組んでいます。台湾青少年の日本への短期招聘、奨学金留学生事業は
毎年実施していますし、昨年8月には宝塚歌劇団花組による第二回台湾公演が実施され、大変な盛
況ぶりでありました。そして、一昨年の台北国立故宮博物院日本展に引き続き、本年は後半にも新
たに完成した故宮南院において、東京国立博物館、九州国立博物館による日本展が予定されていま
す。
そのほか、この場をお借りしてこれまでに献身的に日台交流に努力頂き、叙勲された方々もご紹
介させていただきたいと思います。昨年日本政府は春に許水徳(キョ・スイトク)・元亜東関係協
会会長に旭日大綬章を、江丙坤(コウ・ヘイコン)・台日商務交流協進会理事長に旭日重光章を、
劉枝萬(リュウ・シマン)・元中央研究院民族学研究所研究員に旭日小綬章を、秋には彭榮次(ホ
ウ・エイジ)・元亜東関係協会会長に旭日重光章を、林丕雄(リン・ピーション)・淡江大学名誉
教授に旭日中綬章を、張文芳(チョウ・ブンホウ)・友愛グループ代表に旭日双光章を、蘇慈琴
(ソ・ジキン)公益財団法人交流協会高雄事務所元現地職員に瑞宝双光章を授与しました。日台関
係の発展のため、長年にわたり献身的なご尽力をされてこられたこれら7名の方々へ、これまでの
ご尽力に対して衷心より敬意と謝意を表します。
日台は自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する重要なパートナー
であり、交流協会は、引き続き日台関係のさらなる発展のために尽力していく所存です。
最後になりますが、本年における皆様の更なるご発展を心より祈念いたしまして、私のご挨拶の
言葉とさせていただきます。
2016年1月 元旦