政治大学選挙研究センターの意識調査で「私は中国人」が過去最低の2.4%

台湾の国立政治大選挙研究センターは1992年以来(1993年を除く)、毎年、「私は台湾人」「私は台湾人であり中国人」「私は中国人」の3つの質問に答える台湾人のアイデンティ調査を発表している。

昨年6月から12月にかけ、金門、馬祖を除く台湾全土の20歳以上の男女1万4,933人に電話調査した結果を2月22日に発表した。

「私は台湾人」は2020年から60%を超えていて、今回も前回の63.3%より1.6ポイント下がったものの61.7%だった。

「私は台湾人であり中国人」32.0%のほぼ2倍、 「私は中国人」2.4%を大きく引き離した。

調査を開始した32年前の1992年に「私は中国人」は25.5%だったから10分の一以下に落ち込み、過去最低だった。

一方、「私は台湾人」は1992年に17.6%だったから3.5倍にも伸びている。

台湾を民主化した李登輝元総統は、台湾の人々に向かって「台湾を民主化せよ」などとは決して言わず、例えば2014年のひまわり学生運動のときには「ひまわり学生運動を支えたのは、強固な台湾人アイデンティティを基盤とした若者たちだ」と、若者たちが勇気をもって立ち上がったのは台湾人アイデンティティを強く持っていたからだという言い方で台湾人を鼓舞することが常だった。

また、「(国民党率いる中華民国体制によって)台湾の人々のアイデンティティは誤導され、ここに特殊な状態が惹起するに至った」(2018年2月28日の記者会見)というように、台湾人アイデンティティは中国国民党によって誤導されてきたとして、中華民国体制を克服して、台湾を台湾人としての誇りと尊厳を持てる国にしようと訴えたこともあった。

国立政治大選挙研究センターの意識調査では、「私は台湾人」が「私は中国人」を上回ったのは李登輝総統時代の1995年で、「私は台湾人」は前年の20.2%から25.0%に上がり、「私は中国人」は26.2%から20.7%に急落して逆転した。

初の住民による総統直接選挙が行われる前年のことで、台湾人意識が高まったことがこの数字からもよく分かる。

また、「私は台湾人」が「私は台湾人であり中国人」を上回ったのは陳水扁時代の2005年に一度あったものの(「私は台湾人」45.0%、「私は台湾人であり中国人」43.4%)、2008年に「私は台湾人」48.4%、「私は台湾人であり中国人」43.1%となってから以降は、「私は台湾人」が完全に上回るようになる。

2008年は中国国民党の馬英九政権が始まった年だ。

中国との統一をはかる親中派の馬英九政権下で逆に台湾人意識が高まったというのも面白い現象で、馬政権への反発が台湾人意識を押し上げ、「ひまわり学生運動」を導いたと言えよう。

馬英九政権下では「私は台湾人」はどんどん高まって50%を超え、ひまわり学生運動が起こった2014年には初めて60%を超えて60.6%となった。

李登輝元総統が指摘したように、「私は台湾人」が常に70%を超え、台湾人アイデンティティが確立したときに、台湾は新しい国に生まれ変わるのだろう。

下記に国立政治大選挙研究センターが発表した意識調査、統一か独立かの調査、政党支持調査を紹介するとともに、中央通信社の記事をご紹介したい。

◆台湾民衆台湾人/中国人認同趨勢分布 https://esc.nccu.edu.tw/upload/44/doc/6960/People202312.jpg

◆台湾民衆統独立場趨勢分布 https://esc.nccu.edu.tw/upload/44/doc/6962/Tondu202312.jpg

◆台湾民衆政党偏好分布 https://esc.nccu.edu.tw/upload/44/doc/6965/Party202312.jpg


「自分は中国人」割合、過去最低の2.4%=台湾意識調査【中央通信社:2024年2月23日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202402230007

 (台北中央社)台湾人のアイデンティティーなどに関する最新の意識調査結果で、自分を「中国人」と認識する人が2.4%と、調査を開始した1992年以降で最低となった。

一方、「台湾人」と答えた人は61.7%で、前年比1.6ポイント減少したものの、4年連続で6割台を維持した。

「両方」だと答えた人は前年比1.4ポイント増の32%だった。

同調査は政治大選挙研究センターが台湾(離島の金門、馬祖を除く)に住む20歳以上の男女を対象に電話で実施。

自分は「台湾人」であるか、「中国人」であるか、または「両方」であるかなどを尋ねた。

同センターは1992年から半年または1年おきに行われた調査結果をまとめて、統計を公表している。

2023年12月までの結果は22日に発表された。

これによれば、自分を「中国人」だと考える人の割合は1992年には25.5%だった。

だが、96年に2割を下回り、2002年からは1桁台で推移した。

自分を「台湾人」と認識する人については、20年に過去最高の64.3%に達した。

両岸(台湾と中国)関係に関するスタンスでは、「永遠に現状維持」を望むと答えた人は33.2%と、調査を始めた94年以降最高となった。

「現状維持して将来再判断」は27.9%、「現状維持しながら独立を目指す」は21.5%、「現状維持しながら統一を目指す」は6.2%、「一刻も早く独立」は3.8%、「一刻も早く統一」は1.2%で続いた。

(頼于榛/編集:荘麗玲)


※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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