*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部で付したことをお断りします。
◆出馬の意思があるからこその柯文哲・台北市長の新党結成
台湾の総統選挙まであと半年あまりとなり、各陣営の動きがだんだんと鮮明になってきました。柯文哲・台北市長は、これまで出馬についての明言を避けてきましたが、ついに動き始めたようです。新党結成です。以下、報道を引用します。
<台北市の柯文哲(か・ぶんてつ)市長は1日、市政府(市役所)で記者会見し、自らの政党を結成する考えを明らかにした。柯氏は来年1月の総統選に出馬するかどうかは9月上旬に判断すると改めて表明した上で、同時実施の立法委員選(国会議員選に相当)に候補者を擁立すると述べた。
政党名は「台湾民衆党」で、すでに内政部(内務省)に届け出た。6日に結党大会を開く。名称は日本統治時代に自治運動を担った政治団体に由来するという。柯氏は、結党の目的は「民主、自由、多様性、開放、法治、人権、弱者保護などの普遍的な価値を台湾で実践する」ためだと述べる一方で、与党・民主進歩党は「価値のない政党だ」と批判した。
柯氏が今、政党を結成しても、総統選では無所属扱いになるため、出馬には有権者の署名約28万人分が必要だ。ただ、所属政党がない場合、総統に当選しても立法院(国会)の運営が困難になるのは確実なため、今回の政党結成は自らの総統就任をにらみ、立法院での足場固めを図る狙いがあるとみられる。>
上記のように、新党を結成したところで、総統選では無所属扱いになるとのこと。また、出馬の意思はまだはっきりと表明していません。しかし、どう見ても出馬の意思があるからこその新党結成です。鴻海の郭台銘氏も無所属で出馬するとの下馬評もあることから、総統選挙の大勢はだいたい固まってきました。
◆総統選挙は4氏の戦いか
民進党候補の蔡英文、国民党候補の韓国瑜、無所属の柯文哲、無所属の郭台銘の4人による戦いとなるようです。報道によれば、郭氏は韓氏の支持を表明していません。なぜなら自身が出馬するからでしょう。
4人の中でも評価が分かれているのは柯文哲でしょう。2016年夏に柯文哲が来日した際、東京で講演をしました。それを聞いていたある顔見知りの衆議院議員に「君たちはなぜこのような自己中心的な人物を支援したいのか」と聞かれたことを覚えています。
確かに、そのときの話の内容は自画自賛に終始し、日本について触れることはありませんでした。その後、ワシントンDCの友人から連絡があり、柯文哲には失望したという話を聞きました。やはり、自己中心的で彼には裏切られた気分だというのです。一方で彼は若い世代に人気があり、評価は分かれるところです。
◆混迷深まる香港、日韓関係、米中関係
香港の混乱はさらに広がっており、デモ隊の活動により交通機関がマヒしたり、暴力が蔓延したりと、長引く混乱によって多くの市民が困惑しています。香港政府はデモ隊と歩み寄る気がないどころか徹底抗戦の構えで、デモ隊の目的は「香港政府転覆だ」とさえ言っています。
日韓関係も悪化の一途をたどっています。韓国の様々な言動によって引き起こされた今回の騒動にもかかわらず、韓国は日本を非難するばかりで、双方歩み寄る姿勢がないばかりか、韓国の攻撃はヒートアップするばかりです。
日韓の問題については、韓国が「安倍首相は謝罪せよ」と要求していますが、誰がどう見ても、日本が韓国を特別扱いする必要性がありません。日本の世論を見ても、半数以上の約6割が日本政府の韓国に対する姿勢を支持しています。韓国はもういい加減に日本に「おんぶにだっこ」はやめて、大人になるべきだという意見が多くあります。
米中の溝も深まる一方で、本日、トランプ大統領は中国を「為替操作国」に認定したということです。トランプ大統領は、中国に対して感情をむき出しにした発言をツイッターでしています。以下、報道を引用します。
<8月5日の上海外国為替市場で、約11年ぶりに人民元の対ドル相場が1ドル=7元台に下落したことを受けて、トランプ大統領は激怒。
「中国は人民元レートを、ほとんど過去最低水準まで引き下げた。これは『為替操作』だ。連邦準備銀行、聞こえているか? これは、中国をいずれ大きく弱体化させる重大な違反行為だぞ!」
「中国の常套手段である通貨操作により、アメリカ人が関税を受け取っていないことは誰にとっても明らかだ。中国はいつも為替操作をして、アメリカからビジネスや工場を盗み、仕事を傷つけ、労働者の賃金を押し下げ、農産物の価格を傷つけている。もう許さないぞ!」
公式Twitterにメッセージを連投していた。>
国家の指導者がこれほどまでに稚拙な物言いをするのはどうかと思いますが、こちらも互いに一歩も譲らない状況です。
中東では戦争が繰り返され、アジアでは米中、日韓、香港の混乱が続いています。そして来年早々にはアメリカと台湾で指導者を決める選挙があります。ことの重要性を有権者はしっかりと認識して、今から世界を良い方向に導く指導者は誰なのかを見極めていってほしいと思います。