昨日(3月22日)夕刻、超党派の国会議員でつくる「日華議員懇談会」は東京・文京区内の椿山荘において総会を開催し、「2022年度基本方針」を採択しました。
この基本方針では、第一に「力による現状の変更は国際社会に対する脅威であると認識し、台湾と手を携えて、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値を尊重し、国際秩序を維持することに最大限の努力を惜しまないことを決意します」と述べられ、日台米戦略対話の継続や台湾のWHAへの参加、CPTPPへの加入支持など14項目が謳われています。
総会後には、同会顧問の安倍晋三元総理や謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表などが招かれた意見交換会が開かれ、驚いたことに6時10分過ぎから約15分、安部元総理と台湾の蔡英文総統がリモートで会談しました。通訳は台湾側が行いました。
リモート会談はまず蔡総統が口火を切り、ワクチンを提供していただいたことへの御礼を述べると、安部元総理からは東日本大震災への支援を忘れることはないと応じ、蔡総統からCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)加入への支援を要請されると、安倍元総理も「加入を強く期待しています」と応じました。
厳しくなっているウクライナ情勢についても意見を交換し、蔡総統は「台湾にとって他人事ではない」と切実な思いが吐露されると、安倍元総理からは「台湾とは外交レベルを超えて親密になることを願っている」「台湾との情報共有も大切」と、台湾有事の前に日本が取らなければならない道筋が示されました。
安倍元総理が「台湾を早く訪れ親しく話したい」と述べると、蔡総統はにこやかに「訪問を心からお待ちしています。大歓迎です。私が案内します」と応ずるなど、終始息の合った応答ぶりでした。
いったんリモート会談が終わり、別室から安倍元総理が会場に戻り、今度は意見交換会の会場が映し出されると、再び蔡総統が登場し、古屋圭司会長と謝長廷代表が蔡総統に御礼を述べ、名残りを惜しむように手を振りながらリモート中継は終わりました。
意見交換会後の記者会見で、古屋会長からこのリモート会談が本日午前にYouTubeで公開されることが明かされたそうです。
すでに公開されましたので下記にご紹介するとともに、自由時報と産経新聞の記事も紹介します。
なお、昨年12月に設立された「日台共栄首長連盟」の宮元陸会長も意見交換会に招かれていましたが、国会の都合で開会が遅れたことから搭乗便の時間が迫り、古屋会長や木原稔・事務局長、謝長廷代表などに挨拶をすませて会場を後にしました。
◆自由時報:與安倍視訊對談 蔡英文:台日加強合作為印太和平貢獻[3月22] https://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews/3868373
—————————————————————————————–安倍元首相、台湾総統と会談 ウクライナ侵攻は「国際秩序への挑戦」【産経新聞:2022年3月23日】https://www.sankei.com/article/20220322-X6W3IRNE5VKG3H5HW5VNEFE7OY/
自民党の安倍晋三元首相は22日、台湾の蔡英文総統とリモートで約15分間対談した。蔡氏がロシアのウクライナ侵攻について「台湾人にとってもひとごとではない」と訴えたのに対し、安倍氏は「ロシアの侵略であり、われわれが築いてきた国際秩序に対する深刻な挑戦だ。国際社会と連携して対応していく」との趣旨の発言をしたという。
対談は超党派の国会議員でつくる議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇、会長・古屋圭司元拉致問題担当相)が開いた総会で行われ、総会後の記者会見で古屋氏が明らかにした。対談は23日午前、ユーチューブで公開するという。
また、日華懇は総会で「台湾と手を携えて、国際秩序を維持することに最大限の努力を惜しまない」との決意を示した令和4年度の基本方針を承認した。総会に出席した台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(台湾の駐日大使に相当)は、ロシアのウクライナ侵攻について「このような力による一方的な現状変更の試みは断じて許してはならない。理念の近い国々が結束して毅然(きぜん)として立ち向かわなければならない」と述べた。
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