和歌山市議会が台湾のCPTTP参加を支持する意見書を可決

 日本など11ヵ国が加盟する「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)の一部規定の発効を停止した新たな貿易協定「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTTP)は2018年12月30日に発効しています。

 台湾がこのCPTTPへの参加を熱望していることを受け、日本の自治体で加盟を支持する動きが出ていましたが、12月14日、その先陣を切って和歌山市議会が「台湾のCPTPP加盟を積極的に支援するよう求める意見書案」を可決、井上直樹議長から衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、外務大臣、経済産業大臣及び内閣官房長官宛に提出されました。

 意見書にも記されているとおり「台湾が、我が国にとっても、CPTPP加盟国にとっても非常に重要なパートナー」であることは欧米でもアジアでも共通の認識となっている現在、政府は右顧左眄することなく、明年のTPP委員会の議長国として毅然として台湾の加盟を進めて欲しいものです。

 ちなみに、和歌山市議会は2018年3月22日にも「台湾のCPTPP参加に関する決議案」(提出者:遠藤富士雄、吉本昌純、中尾友紀、山本忠相、山野麻衣子)を決議しています。

 提出者に名前を連ねている遠藤富士雄議員(7期)は、和歌山市議会に「日台友好議員連盟」を設立し、会長として積極的に台湾との交流をはかってきており、地方議員約500人を結集した「全国日台友好議員協議会」の設立にも尽力、理事長として中心的な役割をはたしてきています。2017年12月には台湾外交部の「外交の友 貢献賞」を受賞しています。

◆和歌山市議会:台湾のCPTPP加盟を積極的に支援するよう求める意見書案 http://www.city.wakayama.wakayama.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/000/483/20201214_1.pdf

◆外務省:環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(略称:包括的・先進的TPP協定) https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page23_002473.html

—————————————————————————————–台湾のCPTPP加盟を積極的に支援するよう求める意見書案

 台湾のCPTPP加盟を積極的に支援するよう求める意見書を衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、外務大臣、経済産業大臣及び内閣官房長官宛て提出するものとする。

                                    令和2年12月14日提出                                  提出者 和歌山市議会議員

                                        中 谷 謙 二                                        中 尾 友 紀                                        松 井 紀 博 山 本 忠 相 浜 田 真 輔 山 野 麻衣子

台湾のCPTPP加盟を積極的に支援するよう求める意見書案

 2018年12月、我が国が主導するCPTPP(アジア太平洋地域における経済連携協定)が発効して以来、度重なる会議・交渉を継続し、2年を経た現在、大きな曲がり角に直面している。それは、本年3月、世界保健機関が新型コロナウイルス感染症患者の爆発的な増加によるパンデミックを発表して以来、世界各地でロックダウン、いわゆる都市封鎖が起こり、8か月を経た11月現在も第2波が押し寄せ、イギリス、イタリアをはじめとした欧州各地で再びロックダウンに陥っている状況を見ても明らかである。このような中、保健衛生分野における豊富な知見と経験を有している台湾が、「台湾の奇跡」とも呼ばれる新型コロナウイルス感染症の封じ込めに見事成功したことは注目に値する。

 一方、世界経済に目を転じれば、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、本年6月、世界銀行の経済見通しでは、世界の経済は今年5.2%の縮小を予測し、物流貿易の量は、2019年比で13%から32%下落すると見込まれている。

 こうした世界情勢のもと、本年10月6日、日米豪印の4か国の外相が東京に集まり、ルールに基づく国際秩序を構築し、平和と繁栄を目指す「自由で開かれたインド太平洋」実現に向け、法の支配や航行の自由など、構想実現に向けた連携強化を確認し合った。また、菅義偉首相が米豪印の3か国外相会談で、国際社会が様々な課題に直面している今だからこそ、このビジョン(構想)を共有する多くの国々と一層連携を深めるよう国際的協調を訴えたことは、アジア太平洋地域圏を客観的にふかんしたとき、台湾が、我が国にとっても、CPTPP加盟国にとっても非常に重要なパートナーであることを再認識させたと言える。

 したがって、台湾のCPTPP加盟は、今後のコロナ禍対策においても、我が国におけるサプライチェーンの安定供給や完備性の面においても大きな意味合いを持ち、将来のアジア太平洋地域圏における安定した更なる経済成長が期待できると言っても過言ではない。

 よって、本年8月に行われた第3回TPP委員会に際する協定声明でもTPPメンバーの拡大が叫ばれている折から、明年、TPP委員会の議長国を務める我が国にあって、台湾のCPTPP加盟に向けたリーダーシップを発揮し、積極的に支援するよう強く求めるものである。

 上記、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

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