台湾海峡の安定への日本の関与に「賛成」が74%  日本経済新聞世論調査

 日本経済新聞は4月23日から25日にかけ、菅義偉首相とバイデン米大統領による初の「日米首脳会談について」、日米首脳共同声明に明記された「台湾海峡の平和と安定」について「台湾海峡の安定への日本の関与」、「まん延防止等重点措置の評価」、「ワクチン接種計画について」「次の政権の首相にふさわしいと思うのは誰か」「処理水の海洋放出」の6項目に対する世論調査を実施した。

 日米首脳共同声明に明記された「台湾海峡の平和と安定」をめぐっては、日本が関与すべきに賛成したのは74%にものぼり、日経記事は「世代別でどの年齢層も『賛成』が『反対』を上回った。60歳以上は74%、40〜50代は80%、18〜39歳は69%が『賛成』と回答した」と伝えている。全世代を通して台湾海峡の安定に日本が関与すべきと考えていることが判明し、その関心の高さに驚かされた。

 日米首脳共同声明では「日米同盟は、普遍的価値及び共通の原則に対するコミットメントに基づく自由で開かれたインド太平洋、そして包摂的な経済的繁栄の推進という共通のビジョンを推進する」と謳い、「日米両国はまた、地域の平和及び安定を維持するための抑止の重要性も認識」し、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」と記された。

 そして「日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意した」とも明記した。菅義偉政権がどのような具体策を展開するかはこれからが正念場だ。8割近くの日本人の期待を裏切らずに、日本が台湾海峡の安定に関与する適切な政策を推進することを切に望みたい。

—————————————————————————————–台湾海峡の安定に関与「賛成」74% 日経世論調査【日本経済新聞:2021年4月26日】https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA231410T20C21A4000000/?unlock=1

◆台湾海峡の安定に関与「賛成」74%

 日本経済新聞社の23〜25日の世論調査で、菅義偉首相とバイデン米大統領による初の首脳会談について聞いた。「評価する」が50%で「評価しない」の32%を上回った。日本が台湾海峡の安定に関与する点は「賛成」が74%で「反対」は13%だった。

 バイデン氏が就任後、対面で外国首脳と会うのは首相が初めてだった。「ジョー」「ヨシ」とお互いをファーストネームで呼び合い、対中政策や気候変動対策などを話し合った。

 首脳の共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」と半世紀ぶりに台湾へ言及した。

 トランプ前大統領が就任した2017年、安倍晋三前首相との初会談は「評価する」が58%だった。

 今回の会談は与党支持層で66%が「評価する」と答えた。野党支持層は「評価しない」が48%で「評価する」(42%)より多かった。

 世代別にみると「評価する」は18〜39歳、60歳以上はそれぞれ52%だった。40〜50代では47%だった。

 台湾海峡への関与を巡っては与党内の評価に差が表れた。自民党支持層は「賛成」が80%だったものの、公明党支持層はおよそ7割にとどまった。野党支持層は77%が「賛成」だった。

 世代別でどの年齢層も「賛成」が「反対」を上回った。60歳以上は74%、40〜50代は80%、18〜39歳は69%が「賛成」と回答した。

 中国は台湾の統一を目標に掲げており、軍事的圧力を強めている。台湾海峡で衝突が起きれば、日本は米国から貢献を求められる公算が大きい。中台の衝突に巻き込まれることへの懸念はある。

 安全保障関連法に基づく「存立危機事態」に認定されれば集団的自衛権の限定的な行使が可能になる。共同声明は「日本は(日米)同盟、地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意した」とも明記した。

 世論調査は首相が表明した30年度までの温暖化ガス削減の新目標についても聞いた。従来の13年度比26%減から46%減への引き上げを「適切だと思う」は58%、「適切だとは思わない」は32%だった。

◆まん延防止「効果ない」76% ワクチン接種「順調でない」80%

 日本経済新聞社の世論調査で、新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言に準ずる「まん延防止等重点措置」の評価を聞いた。感染拡大防止に「効果があったとは思わない」は76%で、「効果があったと思う」の19%を大きく上回った。

 重点措置は事業者に営業時間短縮などを要請できるものの、緊急事態宣言に比べて心理的な効果が小さいとの見方がある。

 政府は2回目の緊急事態宣言を解除した地域などで重点措置を適用した。感染が再拡大して3回目の宣言を発令せざるを得なくなった。

 大阪、兵庫、京都の3府県で「効果があったとは思わない」は83%と全体よりも高かった。世代別にみると18〜39歳で「効果があったとは思わない」が74%、40〜50代が81%、60歳以上は76%だった。

 政府のワクチン接種計画についても質問した。「順調だと思う」は16%にとどまり、「順調だとは思わない」は80%に上った。日本は12日から65歳以上の高齢者への接種が始まった。

◆「次の首相」トップは河野氏24% 菅首相は6位4%

 日本経済新聞社の世論調査で、次の政権の首相にふさわしいと思うのは誰かを聞いた。首位は河野太郎規制改革相で24%だった。2位は自民党の石破茂元幹事長(16%)、3位は小泉進次郎環境相(14%)だった。

 安倍晋三前首相は4位(8%)で、上位4人の顔ぶれは1月と変わらなかった。菅義偉首相は順位が1つ下がり6位(4%)だった。岸田文雄前政調会長が5位(5%)になった。

 回答者を自民党支持層に絞ると2位以下の順位が変わる。全体で3位の小泉氏が2位に、4位の安倍氏が3位に浮上する。石破氏は4位になる。首相の順位は6位から5位に上がる。

 首相の党総裁の任期は9月末で、それまでに総裁選を実施する。党所属の国会議員と全国の党員・党友が投票権を持つ。

◆処理水の海洋放出「妥当」54%

 政府が決めた東京電力福島第1原子力発電所の処理水を海洋放出する方針について、日本経済新聞社の世論調査で聞いた。「妥当だと思う」との回答は54%だった。「妥当だとは思わない」の38%を上回った。

 「妥当だと思う」は与党支持層で67%、野党支持層は41%だった。世代別にみると若年層の方が肯定的な見方が多い。性別ごとの分析では男性が「妥当」63%、女性は40%だった。

 処理水は福島第1原発の敷地内にあるタンクにためており、2022年秋ごろに満杯になる見通し。対策を講じなければ廃炉作業に影響が出かねない。海洋放出に向けて薄める設備の準備期間などを考慮すると、方針を決める時間的な猶予は少なかった。

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