台湾外交部が防衛省「現役」職員の台湾派遣に感謝

 今般、政府が文官といえど現役の防衛省職員を派遣し、日本台湾交流協会台北事務所の防衛担当者を増員して2名体制に踏み切ったことに対して、台湾の外交部は「日本が多くの国際社会の場で台湾海峡の平和と安定の重要性を訴え、武力による一方的な現状変更に反対していることに感謝を示した」と伝えられている。

 この文官派遣については「現役自衛官にあたる制服組を送ると中国の反発が大きいと判断した」(日本経済新聞)との報道があるように、米国の事例と比較するとどうにもじれったさを感じる。

 本会の「2021政策提言」で述べているように、米国在台湾協会台北事務所には、2005年8月から現役の陸軍大佐が派遣されている。また、米国在台湾協会が2019年4月に「事務所には陸・海・空の軍人が2005年から駐在している」と表明し、2008年からは海兵隊員が駐在していることも判明しており、沿岸警備隊を除く4軍軍人が「駐在武官」業務のため台北事務所に駐在していることが明らかとなっている。

 このような米国に中国は反発したのだろうか。なぜ日本は天皇誕生日祝賀レセプションを台湾で開催したときのように、現役の武官(制服組)派遣に踏み切れなかったのだろうという疑問は残る。

 防衛省は本年4月4日現在、各国の在外公館86ヵ所や国際連合日本政府代表部など代表部に73名(陸34名、海20名、空19名)の防衛駐在官として現役の武官を派遣している。駐米日本大使館がもっとも多く6名( 空将補����ぢ陸佐、1海佐����ぢ陸佐����ぢ海佐����ぢ空佐)で、3名はインド、韓国、中国、オーストラリア、ロシアの5ヵ国などであるが、もちろん台湾は入っていない。

 防衛駐在官の主要な任務は、情報収集、連絡・調整、自衛隊を代表する業務等であり、業務の遂行に当たっては各自衛隊の戦略・戦術、部隊運用、装備品等に関する幅広い識見と豊かな経験が求められる。台湾には文官が派遣されるというが、文官派遣は初めてのことのようだ。

 台湾に昨年5月まで派遣されていた退役陸将補の方は、マレーシアで防衛駐在官の経験を有していた。2003年に初めて派遣された方も中国の防衛駐在官だった。果たして現役の文官が防衛駐在官としてどれほどの役割を果たすのか、注目したい。

◆防衛省:防衛駐在官の派遣状況[2022年4月4日] https://www.mod.go.jp/j/publication/shiritai/chuuzaikan/pdf/haken_jyoukyou.pdf

—————————————————————————————–日本が現役防衛省職員派遣の報道 外交部「台湾海峡の平和重視に感謝」【中央通信社:2022年6月4日】

 (台北中央社)外交部(外務省)の崔静麟(さいせいりん)副報道官は4日、日本政府が対台湾窓口機関、日本台湾交流協会台北事務所に防衛省の現役職員を派遣する方針を固めたとの報道について、日本が多くの国際社会の場で台湾海峡の平和と安定の重要性を訴え、武力による一方的な現状変更に反対していることに感謝を示した。

 産経新聞によれば、「背広組」と呼ばれる文官職員1人が今夏にも派遣されるという。

 崔氏は、権威主義体制の拡張とルールに基づく世界の民主主義秩序への挑戦に際し、台湾は引き続き理念の近いパートナーと連携を深め、共同で世界的な正義と自由民主主義共通の価値を守るとの立場を示した。

 一方、国防部(国防省)は中央社の取材に対し、地域の平和と安定を増進するさまざまな軍事交流活動は望ましいことだと説明。ただ報道の内容に関しては、日本政府内部の人事に関わることだとして、コメントを差し控えた。

(游凱翔/編集:齊藤啓介)

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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