台湾の統一地方選挙で中国国民党は13県市を占め民進党は5県市に留まる

 台湾の統一地方選挙の投開票は11月26日、候補者死亡のため12月18日に延期された嘉義市を除く21の県と市で行われ、現有14県市の中国国民党は直轄6市のうち4直轄市(新北市、台北市、桃園市、台中市)を含めた13県市とし、現有7県市の民進党は2直轄市(台南市、高雄市)と嘉義県、屏東県、澎湖県の3市を合わせた5県市にとどまった。現有1市の台湾民衆党は1市(新竹市)、無所属が2県(苗栗県、金門県)だった。

 投票率は、直轄市長選が59.86%、県・市長選は64.2%。

 21県市の得票数と得票率は、中国国民党が570万1,977票で、得票率は50.03%、民進党は474万3,468票で、得票率は41.62%、台湾民衆党は16万9,459票で、得票率は1.49%だった。

 今回も民進党に対して「大敗」や「惨敗」とする記事が多い。しかし、民進党の大敗とされた前回の2018年のときの得票率をみると、民進党は39.2%で国民党の48.8%に9.6ポイントも引き離され、まさしく大敗だったが、今回は8.41ポイントまで詰めて得票率を伸ばしたものの当選者獲得につながらなかった。

 12月18日に延期された嘉義市は、現職の黄敏恵氏(中国国民党)が優勢と言われ、中国国民党が押さえれば現有勢力を維持することになる。

 なお、県や市の議員は全国で910人が選出され、中国国民党が367議席、民進党が277議席、台湾民衆党が14議席、時代力量が6議席、台湾基進が2議席、無所属が227議席、その他の政党が17議席だった。

 また、統一地方選挙に併せて行われた、公民権の年齢を現行の20歳以上から18歳以上に引き下げる憲法改正案の賛否を問う国民投票は、有権者数の過半数である約962万票以上の同意が必要だったが、同意が564万7102票にとどまり改憲案は承認されなかった。

 ちなみに、今後の民進党の動きを概観すれば、候補者選定に深く関わっていた蔡英文・民進党主席は敗退の責任を取って辞任したため、民進党内での求心力が低下することは免れない。2024年1月に予定される総統選挙では、総統選候補に浮上していた蔡英文派と言われる鄭文燦・前桃園市長への影響も避けられず、同じく総統選候補と言われている頼清徳・副総統が候補者として大きく浮上してきた感がある。

◆行政院直轄市

 台北市:蒋萬安(中国国民党) 新北市:侯友宜(中国国民党) 桃園市:張善政(中国国民党) 台中市:盧秀燕(中国国民党) 台南市:黄偉哲(民進党) 高雄市:陳其邁(民進党)

◆県市

 宜蘭県:林姿妙(中国国民党) 基隆市:謝國[木梁](中国国民党) 新竹県:楊文科(中国国民党) 新竹市:高虹安(台湾民衆党) 苗栗県:鍾東錦(無所属) 彰化県:王惠美(中国国民党) 南投県:許淑華(中国国民党) 雲林県:張麗善(中国国民党) 嘉義県:翁章梁(民進党) 屏東県:周春米(民進党) 台東県:饒慶鈴(中国国民党) 花蓮県:徐榛蔚(中国国民党) 澎湖県:陳光復(民進党) 連江県:王忠銘(中国国民党) 金門県:陳福海(無所属)

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