台湾の失業率が過去23年間で最低の3.33%に

 いささか古いニュースで恐縮だが、台湾の失業率について日本ではほとんど報じられないので、1月22日に行政院主計総処が発表した台湾の失業率について紹介したい。

 昨年12月の台湾の失業率は過去23年で最低の3.33%で、また、年間失業率も過去23年で最低の3.48%だったそうだ。主計総処は「現在の雇用市場は依然として安定」しているとしていた。

 振り返ってみれば、2000年5月に発足した陳水扁政権1年目の失業率は2.99%と3%を切っていた。2年目以降は5%を超える年もあったが、2期目の2006年と2007年には3.91%と4%を切っていた。

 馬英九政権(2008年〜2016年)8年間の失業率は後半2年こそ4%を切って2014年:3.96%、2015年:3.78%だったが、軒並み4%を超え、2009年には5.85%まで高かまった。

 一方、蔡英文政権がはじまった2016年5月以降、夏場までは4%を超える失業率だったものの、8年間の年平均は4%を超えたことはない。コロナ禍に見舞われた2021年が3.95%の最高値で、一昨年(2022年)は3.67%、昨年は最低の3.48%となった。

 とはいえ、昨年の失業率は20歳〜24歳がもっとも高く11.76%にも及び、25歳〜29歳も5.99%と高かった。

 1月の総統選挙でも、仕事がない(労働問題)、家賃が高い(住宅難)などに悩む若者の不満が民進党批判となり、台湾民衆党に若者の票が流れたという分析があったが、失業率からもそれは裏づけられるようだ。

 ちなみに、行政院主計総処のプレスリリースは海外の失業率も発表している。

 カナダ:5.3%(12 月)、米国:3.5% (12 月)、韓国:3.3%(12 月)、ドイツ:3.0%(11 月)、 香港:2.9%(11 月)、日本:2.4%(11 月)

 台湾は日本やドイツには及ばないものの、カナダや米国よりも低い。ほぼ韓国と肩を並べていて、世界水準からしても台湾の失業率はけっして高くはない。

 ただ、世界的に見て台湾の失業率が低いと言っても、頼清徳・新政権が20代の失業率を下げないと、ねじれ国会と相まって政権運営にも支障を来たしかねない。今後、頼清徳政権がどのような雇用対策を取るのかにも注意を払っていきたい。

◆行政院主計総処:プレスリリース【1月22日】 https://www.stat.gov.tw//News_Content.aspx?n=2706&s=232930


2023年失業率3.48%、過去23年で最低【台湾国際放送:2024年1月23日】

 行政院主計総処が22日に発表したところによりますと、112年(2023)12月の失業率は3.33%で、同期としては過去23年で最低。また、年間失業率は平均で3.48%、前年比で0.19ポイント低下し、こちらも同じ時期としては過去23年で最低になりました。

 主計総処は、現在の雇用市場は依然として安定しており、過去の経験から見ても、1月の失業率はさらに下がる見込み。それは、従来、1月は旧正月の活動が盛んで、雇用需要が高まり、雇用者数が増える傾向があり、多くの場合、失業率は12月よりも低下するから。ただし、2月には年明けになって転職する人が増える可能性があり、その結果、失業率が上昇する可能性も考えられるとしています。

(編集:許芳[王韋]/本村大資)

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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