ニーズ・タイペイ)」だ。アジア開発銀行(ADB)、経済協力開発機構(OECD)、アジア太
平洋経済協力(APEC)なども「中華台北」で、世界保健機関総会(WHA)も表向きは「中華
台北」だが、マーガレット・チャン事務局長がWHO内部では「中国台湾省」と呼ぶように内部通
達していたことが発覚している。
2002年1月1日に加盟した世界貿易機関(WTO)は「台澎金馬個別関税領域(台湾、澎湖諸島、
金門及び馬祖から成る独立関税地域)」という統治実態を示す名称だった。
2013年10月14日に設立総会が開かれた世界選挙機関協議会に台湾は、なんと「台湾(Taiwan,
R.O.C.)」の名称で加盟している。台湾の名称で加盟しているほとんど唯一の例かと思われるが、
これは、選挙を実施していない中国が加盟していないからだったと言われている。
蔡英文総統は10月1日に台北で開かれた学術会議で「台湾が外に出て行こうとすると中国大陸か
らの大きな圧力に直面する。ICAOの総会への参加が阻まれたことは、その最もはっきりとした
例だ」と述べ、中国を名指ししてその不当な圧力について憤りをあらわにした。
中国の台湾への妨害工作はさまざまな分野で続けられている。9月のICAO総会、4月にブ
リュッセルで開かれた経済協力開発機構の鉄鋼に関する会合、7月の国連食糧農業機関の水産委員
会などでも台湾を締め出したのは中国だと報じられている。パラリンピックにおけるエンブレムに
も中国はいちゃもんをつけ、台湾側は直さざるをえなかったという。
このたび、世界経済フォーラムが発表した国際競争力ランキングで、一度は「チャイニーズタイ
ペイ」と発表したものの、翌日、「中国台湾」(Taiwan, China)に戻したという。
戻すに際してはわざわざ「技術的なミスで、中華人民共和国が主張する“1つの中国”政策への
不支持を示すものではない」とするプレスリリースを発表したという。
しかし、中国がいかに「一つの中国」政策を掲げようとも、中国が台湾を統治したことは一度も
ない。だから日本は国交がない台湾といえども、法務省統計や在留カード、外国人住民基本台帳で
は中国と台湾を区別している。
このような措置が日中共同声明に悖るものではないことは、中国政府が表立って異を唱えていな
いことからも明らかだ。
台湾は試練のときを迎えている。日本やアメリカ、EUなどが今後ともさまざまな形で台湾の国
際機関などへの参加について支持表明を強力に推し進めてゆくことが重要であり、特に日本は日本
版・台湾関係法を制定することが喫緊の課題である。
外交部、世界経済フォーラムの「中国台湾」表記に訂正要求
【中央通信社:2016年10月3日】
(台北 3日 中央社)外交部(外交省)は3日、スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」
(WEF)が中華民国(台湾)の名称を不当に表記したとして変更を求めた。
WEFは先月28日、2016年の国際競争力ランキングを発表。この際、台湾について従来使われてき
た「中国台湾」(Taiwan, China)の代わりに、チャイニーズタイペイ(Chinese Taipei)の名称
を初めて使用した。
だが、翌日、「その他国際機構のデータを引用した技術的なミスで、中華人民共和国が主張す
る“1つの中国”政策への不支持を示すものではない」とした内容のプレスリリースを発表し、台
湾の名称表記を元の「中国台湾」に戻した。
外交部はこれに対し、駐ジュネーブ弁事処がすでに名称の速やかな訂正をWEFに求めていると語
るとともに、今後類似の問題があった場合、在外公館が進んで訂正を要求するとした。
台湾が世界保健機関(WHO)などの関連イベントに参加する際、中国大陸からの圧力を受けて、
名称が不当表記されたり、出席できないことが多く、今年は国際民間航空機関(ICAO)総会への参
加が実現しなかった。
(戴雅真/編集:荘麗玲)