しかし、アジア・太平洋マネー・ローンダリング対策グループ(1997年加盟)や世界選挙機関協議会(2013年加盟)など、台湾の名称で加盟している例もある。
また、国際病院連盟には1970年に「中華民国医院行政協会」として加盟するも、2003年に「台湾医院協会」に改称し、中華民国から台湾へ正名した。
世界医師会への加盟名称も、2004年に東京で開かれた総会で変更が認められ、それまでの「中華台北医師会」から「台湾医師会」(Taiwan Medical Association)に改称している。恐らく「中華台北」から「台湾」への正名を果たした唯一と言っていいケースだろう。
しかし、中国医師会は2017年4月の世界医師会理事会の開会前に、台湾医師会の名称を「中国台湾医師会」(Taiwan, China Medical Association)に変更するよう世界医師会に書面で求めたというが、理事会は否決。さらに10月の総会でも名称変更を求める提案を行ったものの、総会で否決。それで、中国医師会は提案に同意しない場合は2021年総会の北京開催に同意しないと脅しをかけてきたという。
世界保健機関総会(WHA)や国際民間航空機関(ICAO)でも中国は圧力をかけて台湾を参加させなかったが、この世界医師会の例にも中国の横暴ぶりがよく現れている。その経緯などを中央通信社が伝えているので下記に紹介したい。
—————————————————————————————–世界医師会に中国大陸が圧力 台湾医師会の名称変更を要求【中央通信社:2017月10月16日】
(台北 16日 中央社)中国大陸の中国医師会が世界医師会(WMA)に対し、「台湾医師会」の名称を変更するよう再度要求していたことが15日までに明らかになった。外交部の李憲章報道官は15日、改称を拒否する台湾医師会の立場を支持し、名称維持に引き続き協力する方針を示した。
米シカゴで11日から14日までWMA総会が開催され、台湾医師会からは中華民国医師公会全国聯合会の王必勝秘書長が代表として出席。王氏によれば、中国大陸は一つの中国政策を理由に台湾側の名称変更を求め、改称されなければ2021年総会の北京開催に同意しないと突きつけてきたという。
王氏は総会で、世界医師会は非政府組織であり、政治問題に巻き込まれるべきではないと指摘し、名称変更に強く反対する立場を表明。王氏の発言には大きな拍手が上がり、会議終了後には各国医師会の代表者から次々と台湾を支持する言葉をかけられたという。
李報道官によると、中国医師会は今年4月のWMA理事会(ザンビア・リビングストンで開催)の開会前に、WMAに対して台湾医師会の名称を「中国台湾医師会」に変更するよう書面で求めた。だが、理事会に否決されたという。李報道官はWMAの決定に感謝を示し、WMAが政治問題の干渉を受けず医療と健康の重要な問題に打ち込めるよう期待を寄せた。
全国聯合会の邱泰源理事長によれば、昨年の総会でも中国医師会から名称変更要求があったという。だが、別の団体に改称を要求はできず、専門的団体は政治の影響を受けるべきではないとの理由で即座に拒否されていた。
中華民国のWMA加盟名称は、2004年に東京で開かれた総会で変更が認められ、従来の中華台北医師会から現在の台湾医師会に変わっていた。
(陳偉テイ、顧セン/編集:名切千絵)