Commission:NPFC)の正式会員国となった。
2006年、米国、日本、韓国、ロシアの4カ国の呼び掛けで創設準備が始まった「北太平洋漁業委
員会」は、北太平洋のサンマやキンメダイなどの漁業資源を国際管理する。その基となる「北太平
洋漁業資源保存条約」が7月19日に発効、日本、米国、韓国、ロシア、カナダ、中国、台湾が参加
して同日に設立された。
台湾の加盟名称は「中華台北(チャイニーズタイペイ)」で、漁業実体(Fishing Entity)とし
て正式会員になったと伝えられている。
それはそれで喜ばしいことに違いない。しかし、またもや「台湾」ではなく中華台北(チャイ
ニーズ・タイペイ)だった。
振り返ってみれば、台湾が国際組織に加盟する場合の名称は、1991年11月にアジア太平洋経済協
力(APEC)に中華人民共和国や香港とともに加盟しているが、このときに「中華台北」で加盟
している。
台湾は2002年1月1日に世界貿易機関(WTO)に加盟している。これは中国が加盟した2001年12
月11日から半月後のことだったが、その名称は「台澎金馬個別関税領域」。しかし、その後は「中
華台北」の名称で加盟するケースが続いている。
最近では2009年5月の世界保健機関の総会(WHA)に台湾は初めてオブザーバー参加したが、
その名称は中華台北であり、2013年9月の「国際民間航空機関(ICAO)」の総会も、国連脱退
後初めて出席したが、このときも中華台北だった。
周知のように、オリンピック加盟名称も中華台北であり、今回の「北太平洋漁業委員会」も中華
台北だった。
しかし、「国際民間航空機関」の1ヵ月後の10月14日に韓国で開かれた「世界選挙機関協議会」
の創立総会には「台湾」(Taiwan,R.O.C.)の名称で創始メンバーとして加盟している。異例の
ケースだが、どうして台湾の名称で加盟できたかといえば、中国が加盟していないからだ。
つまり、中国が加盟する国際機関に台湾が入ろうとすると中国が反対し、世界保健機関の総会
(WHA)加盟やアジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟問題で明らかになったように、中
国が容認しないと台湾は加盟できない。その加盟名称も「台湾」は受け入れられず「中華台北」と
なる。中国が「二つの中国」は認めないという姿勢を崩さないからだ。
台湾が「中華民国」という国名を変更しない限り、国連加盟の道も閉ざされている。なぜなら、
中国(中華人民共和国)が中華民国の後身として国連に加盟したとき、その加盟名称を「中華民
国」のままにしているからだ。ロシアが「ソ連」の名称のまま加盟しているのと同様だ。
つまり、国際的に中華人民共和国は中華民国の継承国家とみなされ、すでに中華民国は亡命政権
扱いされているのが現状なのだ。中華民国が国名を「台湾」に変更すれば加盟への道も開かれる可
能性が出てくるのだが、馬英九政権にその意思はない。
台湾、サンマの国際管理組織に加盟
【産経新聞:2015年8月25日】
台湾の外交部(外務省に相当)は25日、日本、中国、韓国、ロシア、カナダで作る「北太平洋漁
業委員会」に加盟したと発表した。同委員会は、減少傾向にあるサンマなどの漁業資源を管理・保
護する目的で、今年7月に発足した。サンマを国際的に管理するのは初めて。事務局は東京で今
後、米国も加わる見通し。
台湾は「中華台北」名義で加盟。日本の外務省の資料によると、対象となる北太平洋の公海での
台湾のサンマの年平均漁獲量(2008〜10年)は約13万6000トンで、加盟国・地域の中で最も多い。
(台北 田中靖人)