台湾のドキュメンタリー映画は民主主義とともに

花蓮の中学サッカー部員を描くドキュメンタリー映画「奇蹟的夏天」(奇跡の夏)

サッカー部 青春の記録 台湾
【11月1日 東京新聞「新世界事情」】

 大がかりな特撮も有名俳優の熱演もない。ただ、青春前期の純朴なひたむきさが胸を打
つ。そんな映画がこの秋、台湾で注目を集めた。「奇蹟的夏天(奇跡の夏)」と題したこ
の作品は台湾東部の花蓮市の美崙中学サッカー部員十七人を描くドキュメンタリーだ。

 撮影期間はことし二−七月。台湾大会を勝ち進む姿を縦糸とすれば、生活や練習風景、
インタビューを横糸に構成され、部員のほとんどがそうである台湾先住民の直面する厳し
い現実もさりげなく描かれている。

 台湾の映画館の入場料は二百−三百台湾ドル(七百円余−千円余)だが、九月下旬の公
開後、最初の週末の劇場収入が七十五万台湾ドル(約二百七十万円)と、台湾のドキュメ
ンタリー映画の記録を更新した。

 台湾で昨年公開された映画約四百本のうち、台湾映画は一割に満たない。日、米など外
国映画に圧倒される中で台湾製ドキュメンタリー映画は健闘している。台湾中部地震の遺
族の心の復興と生きる希望をテーマとした「生命」(二〇〇四年)、厳しい暮らしに打ち
負かされない台湾南部の農民のしなやかな強さを描いた「無米楽」(〇五年)など、話題
作が続く。

 「奇蹟−」を監督し、台湾記録映画発展協会の理事長でもある楊力州さん(37)は「台
湾のドキュメンタリー映画は一九九〇年代から変化の兆しがあり、それが発展して評価に
つながった。これを基礎に一般映画でも台湾製のヒット作が出てくると思う」と話す。
 その発展は国民党独裁時代から一気に台湾の民主化が進んだ時期と重なる。この方向で
社会がさらに成熟すれば、映画もまた−。           (台北・野崎雅敏)


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