中国外務省は会見で「ソロモン諸島政府が一つの中国の原則を認め、中国と国交を樹立することを高く称賛する」と発表したものの、米国のペンス米副大統領はソガバレ・ソロモン諸島首相の会談要請を拒否し、真逆の対応だった。
米国はこれまでデング熱対策で5万ドル、サイクロン被害の復興支援で25万ドルを供与してきたと伝えらる産経新聞は「米国際開発庁(USAID)のスティール次官補代行は18日、下院外交委員会の公聴会で、2020会計年度(19年10月〜20年9月)予算で『ソロモン諸島に対する援助を見直している』と語った。援助の削減や停止も視野に検討しているとみられる」と報じている。
日本も、断交発表直後の16日22時41分、日本台湾交流協会台北事務所の沼田幹夫代表がフェイスブックで「有關台灣與索羅門諸島中止外交關係(台湾とソロモン諸島の外交関係終了について)」と題し「本協会は,両岸関係及び地域の平和と安定の観点から,今後の影響を含めて,本件を大きな関心を持って注視していきます。台湾をめぐる問題について,当事者間の直接の対話により平和的に解決されることを期待します」と、中文と日文で表明している。
蔡英文政権が発足してから7ヵ月後の2016年12月21日にサントメ・プリシンペ民主共和国と断交して以来、昨年8月21日のエルサルバドル共和国との断交まで、沼田代表がメッセージを発表することはなかった。異例のことと言えよう。
翌17日には、菅義偉・官房長官も記者会見で「両岸関係および地域の平和と安定の観点から、今後の影響を含め大きな関心を持って注視をしています。台湾をめぐる問題については平和的解決を期待するというのが、わが国の一貫した考え方であります」と、沼田代表とほぼ同じ内容を表明している。
ソロモン諸島では住民の抗議活動が起こったそうで、「大紀元」紙が伝えているので下記に紹介したい。
なお、記事中、コリー・ガードナー米上院議員ら4人の超党派議員が昨年9月に議会に提出した「台北法」の早期可決の必要性を訴えたとあるが、これは2018年9月4日、共和党上院議員のコリー・ガードナーとマルコ・ルビオ、民主党上院議員のエド・マーキーとボブ・メネンデスが超党派で上院に提出した法案のこと。
米国の勢力圏で、脇腹とも裏庭ともいうべき中米諸国のパナマ共和国(2017年6月13日に断交)やドミニカ共和国(2018年4月30日に断交)に続き、2018年8月21日にエルサルバドル共和国が台湾と断交して中国と国交を樹立したことを背景としている。また、トランプ政権は昨年9月7日、この3ヵ国に駐在する大使や臨時代理大使を召還したと発表している。
今回の台湾とソロモン諸島の断交は、中米諸国ばかりか南太平洋諸国の一角が崩れたことで、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進する日本や、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指す米国、連携するオーストラリアやインドなどにも少なからぬ脅威をもたらした。
台湾と国交を結ぶ太平洋の国交国は、キリバス共和国、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、パラオ共和国、ツバルの5カ国。今後、中国がこれらの国々へ手を伸ばすことも十分予想される。すでにロイター通信はツバルについて、台湾との外交関係を強く支持していた首相が落選し、新しい首相が誕生したことを報じている。
◆沼田幹夫・日本台湾交流協会台北事務所代表:台湾とソロモン諸島の外交関係終了について【9月16日】 https://www.facebook.com/JiaoliuxiehuiTPEculture/
—————————————————————————————–ソロモン諸島の台湾断交に反対、地元住民が抗議活動【大紀元:2019年9月19日】
南太平洋のソロモン諸島政府は16日、台湾との国交を断絶し、中国との外交関係を承認すると発表した。同国のメディアによると、この決断に多くの住民が反対し、17日、マライタ島で抗議活動が起きた。
地元メディア「ソロモン・スター(Solomon Star)18日付によれば、マライタ島アウキ(Auki)地方で、住民は36年間の外交関係を続けてきた台湾との断交に抗議した。
活動参加者の1人は、ソガバレ首相とその内閣の決定は国民の声とかけ離れており、国民の利益にならないと指摘した。台湾との断交後、台湾大使館の事務所や関連施設の閉鎖で、一部の住民が職を失う恐れがあるという。住民は、政府に対して台湾との国交断絶を見直そうと呼び掛けた。
また、ペンス米副大統領はソロモン諸島政府が中国当局と国交を結ぶことに不満を示し、ソガバレ首相の会談要請を拒否した。
コリー・ガードナー米上院議員(共和党)はツイッターで、ソロモン諸島政府の方針について「非常に理解しがたい」とした。議員は、自身を含めた4人の超党派議員が昨年9月に議会に提出した「台北法」の早期可決の必要性を訴えた。
台北法「Taiwan Allies International Protection and Enhancement Initiative(TAIPEI)Act」は米政府に対して、台湾の国家承認、また世界各国に台湾との非政府間交流を促すよう求める。台湾の利益を損なう行動をとった国に対して、同法案に基づいて、米国務省は当該国との外交関係のレベルを引き下げ、軍事上や資金援助などの協力関係を一時中止し、または変更するとの措置を取る。
(翻訳編集・張哲)