責任を取って江宜樺・行政院長が辞任し内閣も総辞職。副院長だった毛治国氏が新たに院長に就任
して組閣した。しかし、ほとんどが再任で、院長の首をすげ替えただけだった。
朝日新聞の鵜飼啓・台北支局長は「新味に欠けるとの批判が出ており、大逆風の馬英九政権の失
地回復にはほど遠い状況だ」と指摘している。
組閣は馬英九総統の下に行われる。民進党にも在野にも人材はいる。そういう有能な人材を取り
込めない馬英九政権は、やはり死に体(レームダック)だ。それもかなり深刻だ。
台湾で新内閣が発足 総辞職の閣僚、ほとんど再任
【朝日新聞:2014年12月8日】
台湾統一地方選での与党・国民党惨敗で江宜樺(チアンイーホワ)・行政院長(首相)が引責辞
任したことを受け、副院長だった毛治国(マオチークオ)氏(66)が8日、院長に就任し、新内閣
が発足した。総辞職した閣僚のほとんどが再任された。新味に欠けるとの批判が出ており、大逆風
の馬英九(マーインチウ)政権の失地回復にはほど遠い状況だ。
行政院長は総統に任命され、内政を取り仕切る。毛氏は交通部(交通省)勤務が長く、中華電信
会長や交通部長(交通相)などを務めた。手堅い行政手腕が評価されたが、就任が決まると「古い
ビンに古い酒を入れただけ」などと批判が噴出。国民党内部からも「馬総統は危機感に欠けてい
る」との声が上がった。
毛氏もこうした声を気にかけているもようで、就任後の記者会見では「選挙結果で新たな民意が
示された。社会は古い考えのままで政策に取り組むことを認めない」と意識改革を強調。閣僚を再
任したことについては「予算案の審議が始まっており、組閣に時間をかけられなかった」と弁明し
た。
統一地方選では、馬政権に対する不満から国民党が15の県市長ポストを6に減らす歴史的な大敗
を喫した。2016年の次期総統選にも大きな影響があると見られる。馬氏は党主席を辞任したが、後
任の主席選びも混沌(こんとん)とした情勢で、政権浮揚や党勢回復のきっかけをつかめていな
い。
(台北=鵜飼啓)