馬英九政権の失地回復にはほど遠い状況だ」との指摘を紹介しつつ、行政副院長から院長に昇格し
た毛治国内閣の人事について触れた。
台北駐大阪経済文化弁事処の「台湾週報」がその人事を掲載しているので、下記に紹介したい。
ほとんどが再任で、内閣の花的存在感を示していた龍応台・文化部長も辞職し、新味に欠けるどこ
ろか、何をめざしているのかまったく見えてこない。いわば、次の国政選挙(立法委員選挙と総統
選挙)までの繋ぎの選挙管理内閣と言っていいだろう。
毛院長は就任後初の行政院会議(閣議)において、統一地方選挙で与党・中国国民党が惨敗した
結果を受け、「政策とその進め方を徹底的に見直す必要がある」と述べたという。
しかし、民意は「中国NO!」と出たにもかかわらず、12月2日に行政院大陸委員会が表明した
「2014年統一地方選挙後の中華民国(台湾)の大陸政策」(3項目)を見ると、トップにこれまで
と同じく「92年のコンセンサス、『一つの中国』の解釈を各自表明する」を基礎として両岸関係を
推進」を掲げるなど、何も変わったところはない。それどころか「これまで中国大陸に過度に依存
したことはない」と強弁さえしている。
◇ ◇ ◇
行政院が内閣人事を発表
【台湾週報:2014年12月8日】
江宜樺・行政院長の辞職に伴い、総統府は毛治国・行政院副院長の行政院長への就任を12月4
日、総統令で発表した。
行政院は12月5日、内閣改造を終え、政務の推進については、国民の期待により一層沿うように
し、施政が空白なく継続できるよう、内閣人事のほとんどは留任とすることを発表した。行政院副
院長には、張善政・科技部長が昇格した。
張・次期副院長は、民間出身の情報通信のエキスパートであり、土木、科学技術、情報通信、管
理実務の知識があり、意志疎通や調整の能力もある。今後は毛・行政院長と連携し、実務的且つ積
極的な角度で政務を図り、実行していくことになる。また、環境保護についての専門知識のある環
境保護署の葉欣誠・政務副署長を政務委員に招き、環境と持続可能な発展分野を強化する政策によ
り、実務を調整ならびに推進していく。新任となる行政院海岸巡防署長には、司法官出身の王崇
儀・副署長が昇格する。
内閣改造後の人事は以下の通り:
・行政院副院長:張善政(新任)
・政務委員:林政則(台湾省政府主席を兼務)、管中閔(国家発展委員会主任委員を兼務)、馮
燕、蔡玉玲(蒙藏委員会委員長を兼務)、杜紫軍(新任、福建省政府主席を兼務)、許俊逸(行
政院公共工程委員会主任委員を兼務)、葉欣誠(新任)
・行政院秘書長:李四川
・行政院政務副秘書長:蕭家淇
・行政院報道官:孫立群
・内政部長:陳威仁
・外交部長:林永楽
・國防部長:厳明
・財政部長:張盛和
・教育部長:呉思華
・法務部長:羅瑩雪
・経済部長:●振中(新任) ●=都の者が登
・交通部長:葉匡時
・衛生福利部長:蒋丙煌
・労働部長:陳雄文
・僑務委員会委員長:陳士魁
・行政院大陸委員会主任委員:王郁● ●=埼の土が王
・金融監督管理委員会主任委員:曾銘宗
・国軍退除役官兵輔導委員会主任委員:董翔龍
・行政院原子能委員会主任委員:蔡春鴻
・行政院農業委員会主任委員:陳保基
・原住民族委員会主任委員:林江義
・客家委員会主任委員:劉慶中
・行政院主計総処主計長:石素梅
・行政院人事行政総処人事長:黄富源
・行政院環境保護署長:魏国彦
・行政院海岸巡防署長:王崇儀(新任)
・国立故宮博物院院長:馮明珠
張善政・科技部長の昇格および龍応台・文化部長の辞職により空白となったポストには、林一
平・科技部政務次長および洪孟啓・文化部政務次長が暫定的に代行し、近日中に選出する。