台南市との友好都市協定 梅原 克彦(前仙台市長)

機関誌『日台共栄』(平成22年5月1日発行) 台湾と私(26)より

 私は、2005年8月から昨年8月までの一期4年間、私自身の郷里でもある宮城県仙台市長
を務めました。市長在任中、台湾と仙台市との間で、様々なかたちでの交流を深めること
ができました。どれも楽しい思い出ばかりです。

 市長に就任してまもない2005年秋、私は東京・白金の台北駐日経済文化代表処を訪ね、
許世楷代表(当時)にお目にかかりました。その年の5月まで、私は古巣の経済産業省でA
PEC(アジア太平洋経済協力)などの仕事を通じて、代表処の皆さんはもとより、外交
部や経済部の友人達と楽しく付き合って来ましたが、今度は地方自治体の首長として、日
台間の交流促進に、積極的に貢献をしたいと考えました。

 そこで、私から許代表に、仙台市と台南市の間で友好都市の協定を結ぶ、というアイデ
ィアをお話ししました。台南には、仙台市と同じ伝統行事として「七夕まつり」があり、
そのことが契機となって、すでに両市の市民の間で一定の交流の積み重ねがあります。そ
の実績をベースに、この際、仙台市と台南市の自治体同士の正式な枠組みにまで、一挙に
「格上げ」しましょう、というわけです。許代表は、直ちに賛同し、全面的な協力を約し
て下さいました。

 仙台に戻って、早速、担当部局に具体的な検討作業に入るよう指示をしたところ、数日
後、担当課長が恐る恐る私に報告に来ました。案の定というか、在東京の中国大使館の広
報文化班の担当者から仙台市東京事務所に「抗議」の電話が来た、との事です。どうやら、
代表処が毎週発行している「台湾週報」に、許代表と私とのやりとりが掲載されたのを読
んで、早速横槍を入れて来たようです。APECなどの国際会議や外交の現場で、似たよ
うな話を数多く見てきましたが、今回は日本と台湾の地方自治体同士の交流にさえも中国
側が口を挟んできたわけです。中国大使館幹部が仙台市役所の私のところに来訪するなど、
様々なルートで中国側から「圧力」がかかってきました。

 因みに、仙台市は中国・吉林省の省都・長春市と友好都市協定を結んでいます。市長を
経験して実感したことは、中国側は、日中間の姉妹都市・友好都市の枠組みを実に戦略的、
実利的に利活用しているということでした。そしてほとんどの場合、(純朴な?)日本の
自治体関係者側が、うまく「乗せられて」しまっているのです。もちろん両国の市民ベー
スの交流それ自体は良いことでしょうが、中国側のいろいろな政治的・戦略的な意図に、
あまりにも無知、無頓着な人々がほとんどです。

 さて、このような中国側の横槍には、本当にうんざりしましたが、日本と台湾の地方自
治体間、そして市民の間の交流を深め、そのことを首長同士が公的文書で確認すること自
体、いかなる第三者から干渉される筋合いのものではありません。

 翌2006年1月20日、台南市庁舎の会議室において許添財市長と私は「観光・経済・産業・
福祉・文化・スポーツなどの交流を促進する協定書」にサインしました。翌年には許市長
御夫妻が仙台にお越しになり、さらにお互いの友情を深めることができました。また、両
市の交流の進展について、小川英子・在日台湾婦女会会長はじめ、仙台在住の台湾関係者
の方々が大変喜んで下さったことは望外の幸せでした。

 近いうちに、許添財市長御夫妻にお目にかかりたいと思っています。先日の本会総会後
のパーティに来賓として出席された許世楷先生からは「梅原さん、台南に行く時は、必ず
台中にも寄って下さいよ」と言われました。どうやら、台湾の山中のひなびた温泉で数日
のんびりと寛ぐのは、もう少し先のことになりそうです。



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