出入国制限緩和 なぜ台湾を含めないのか

 なぜ台湾を入れないのだろうと不思議に思っていたが、産経新聞も疑問に思っていた。その社説「主張」を紹介したい。

—————————————————————————————–出入国制限緩和 なぜ台湾を含めないのか【産経新聞「主張」:2020年6月27日】

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにとられてきた出入国制限の一部緩和が始まった。

 日本人ビジネス関係者らが25日、成田空港から飛び立った臨時便で、ベトナム入りした。海外との往来再開の第一歩といえる。

 冷え込んだ経済を動かすために、出入国制限を段階的に緩和していくことは必要だ。ただし、国内で感染が再び広がらないよう万全の策を講じることが前提だ。検査体制の充実を図ることが欠かせない。

 日本は水際対策として、111カ国・地域を対象に、外国人の入国を拒否し続けてきた。

 この制限は保ちつつ、例外的措置として、感染状況が落ち着いているベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国との間で、出入国制限を緩和していく。第1段階として、PCR検査などを条件に経営・管理者、技術者、技能実習生などビジネス関係者らの相互入国を認める。

 菅義偉官房長官は25日の記者会見で「わが国の検査能力、体制の拡充は必要不可欠だ」と述べた。菅氏が、唾液PCR検査の導入や海外渡航者のためのPCRセンター設置の考えを示したことは妥当である。

 空港の検疫要員の不足が伝えられる。往来拡大に備え、今のうちに人員を確保しておくべきだ。

 感染状況が落ち着いた国と相互に入国制限を緩和していくのは当然だが、感染拡大が懸念される国との間は、経済関係が密接であっても安易に認めるのは危うい。

 たとえば中国は日本に制限緩和を求めているが、首都北京で感染拡大の兆しがある。同市幹部は「戦時状態に入った」と警戒を呼び掛け、大規模なPCR検査を続けている。新型ウイルス感染症の発生国でもあり、中国との往来には慎重な判断が必要である。

 日本政府の対応には極めて疑問な点がある。最初の往来の対象になぜ台湾を含めないのか。

 台湾は中国の隣に位置するにもかかわらず、迅速に新型ウイルスを封じ込めた。世界の模範といっていい。日本政府は5月の世界保健機関(WHO)の総会で台湾の対応を高く評価していた。

 台湾を対象にしなかったのは中国の反発を恐れたからだろう。忖度(そんたく)もいいかげんにしてほしい。感染状況が落ち着いている台湾との往来再開へ動くべきだ。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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