公民投票で実施される国民党「反核食」案に沼田代表が失望を表明した理由

台湾の中央選挙委員会は10月9日、11月24日に投開票の統一地方選挙と同時に実施する公民投票案を審議し、台湾名義で2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会へ参加申請の賛否を問う案(東奥正名)や、福島や千葉など5県の日本産食品輸入禁止措置に関する案(反核食)などが規定の署名数(約28万人)に達していることから実施することを確認したという。

 日本5県産食品の輸入禁止措置に関する国民投票案を提案したのは国民党だが、共同通信は「国民党は約49万人の署名を提出したが、約1万1千人は既に死亡した人だったほか記入の不備なども多く有効署名は約31万人。しかし投票成立に必要な約28万人には達していたため承認された」と伝えている。

 確かに署名してから亡くなった人もいると思われるが、それにしても国民党が署名を集め始めた7月下旬から2か月の間に、署名した1万人を超える人々が亡くなることはまず想定できず、意図的な操作性を疑わざるを得ない。

 その上、無効署名数が約18万人、36.7%にも及んでいるにもかかわらず、必要署名数に達しているから実施するというのは、なんとも釈然としない。修正された公民投票法の欠陥とも言える法制上の不備なのではないだろうか。

 それはともかく、蔡英文政権は日本5県産食品の輸入禁止措置を緩和する方向で検討していて、呉釗燮・外交部長も、輸入解禁の是非は科学的な根拠に基づいた国際的な基準にのっとって考えられるべきとの見解を表明している。

 この呉外交部長の見解は、これまで日本側が主張してきた見解とほぼ一致していて、世界基準の10倍も厳しい基準を実施している日本の現状を把握した見解でもある。

 ところが国民党は、この問題を科学的な問題ではなく、政治問題化させ、公民投票にかけてしまったのだ。

 9月30日、許世楷・元台北駐日経済文化代表処代表の招きで世界台湾同郷会連合会の年次総会に出席した自民党の萩生田光一・幹事長代行は、この席上「台湾の友人が日本の検査を通過した食品の安全性に懸念を抱いていることは遺憾だ」と述べ、政治問題化していることに懸念を示しつつ、早期解決をはかって欲しい旨を表明している。

 日本台湾交流協会台北事務所の沼田幹夫代表も7月24日、国民党が5県産食品の輸入禁止措置継続について賛否を問う公民投票の実施を目指した署名活動を始めたことを受け「私は失望を禁じ得ません」と表明し「科学的な根拠が示されないまま,こうした輸入規制措置が継続されることは,日本と台湾の友好関係にヒビを入れるものになる」というメッセージを発表して、自制を求めたのだった。

 しかし、その願いも空しく、公民投票の実施が決まり、沼田代表は10月9日、改めて「失望を禁じ得ません」とするメッセージを発表している。そして「今,私に課されているのは,今回のこの国民党による一連の行動がこれまで大切に育んできた日本と台湾の友好関係にひびを入れることを何とか食い止めることです」ともつづり、11月24日の投票で国民党案が成立しないよう食い止めたいとの意向を明白に表明している。

 台湾との交流の深化を願う日本人の一人として、沼田代表の悲痛ともいえる決意表明に全面的に賛意を表したい。

 国民党の5県産食品の輸入禁止措置継続案は、沼田代表が指摘したように「日本と台湾の友好関係にひびを入れること」を目的としている。つまり、国民党による日台離間策と言って過言ではない。日台の間に楔(くさび)を打とうとしているのだ。

 日台の対立を目論んでいるのは国民党だけではない。中国も日台の離間を謀ってさまざまな策を弄してきている。それゆえに、萩生田光一議員も政治問題化していると指摘したのだ。

 11月24日は、統一地方選挙もさることながら、公民投票の行方も深く日本に関わっていることに注目しながら見守りたい。

————————————————————————————-沼田幹夫当協会台北事務所代表からのメッセージ:日本産食品に対する台湾の輸入規制措置に関する公民投票の実施について【日本台湾交流協会:2018年10月9日】

 本日,日本産食品に対する台湾の輸入規制措置に関する公民投票が実施されることが発表されました。

 国民党によって本公民投票が提案され,実施されることになったことを誠に不甲斐なく残念に思っています。これによって私の台湾に対する思いは変わることはありませんが,こうした結果になることは予想していなかっただけに失望を禁じ得ません。

 私の考えは,7月24日に発表したコメントの通りであり,ここで繰り返しませんが,毎年450万人以上の台湾の皆様が日本各地を訪問して頂いており,日本滞在中,皆様には福島を含む食材を堪能頂いています。安全な食材でなければ,日本国内で流通させることはできないのです。

 食品の輸入規制措置の是非は,本来、科学的・専門的な見地から冷静に判断されるべきものです。これが、政争の具とされ、ついには台湾の皆様全体をも巻き込んでしまいました。今,私に課されているのは,今回のこの国民党による一連の行動がこれまで大切に育んできた日本と台湾の友好関係にひびを入れることを何とか食い止めることです。良識ある台湾の皆様の冷静な判断を切に希望します。

 2018年10月9日 公益財団法人日本台湾交流協会 台北事務所代表 沼田幹夫

 7月24日のメッセージ: https://www.koryu.or.jp/news/?itemid=845&dispmid=4259


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