全日本台湾連合会が12月18日の公民投票に向け声明文を発表

 台湾の中央選挙委員会は本年7月2日、8月28日に下記の4つの事案について公民投票を行う予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、投開票を12月18日に延期すると発表しました。

 ちなみに、2004年3月20日の総統選挙と同時に実施された初の公民投票では2つの事案(第1案・第2案)が対象となり、以後、2008年1月12日の立法委員選挙と同時の第3案・第4案、2008年3月22日の総統選挙と同時の第5案・第6案、2018年11月24日の統一地方選挙と同時の第7案〜第16案と続き、今回はそれに続く第17案〜第20案となっています。

・第17案 第4原子力発電所計画の再起動を求める。・第18案 アメリカからのラクトパミン含有豚肉の輸入解禁に反対する。・第19案 公民投票の投票日と大型選挙の投票日を切り離したことに反対する。・第20案 藻礁保護のため液化天然ガス陸揚げ施設の建設に反対する。

◆台湾・中央選挙委員会:全国性公民投票案第17案至第20案公投公報https://www.cec.gov.tw/data/files/A0121/%E5%85%A8%E5%9C%8B%E6%80%A7%E5%85%AC%E6%B0%91%E6%8A%95%E7%A5%A8%E6%A1%88%E7%AC%AC17%E6%A1%88%E8%87%B3%E7%AC%AC20%E6%A1%88%E5%85%AC%E6%8A%95%E5%85%AC%E5%A0%B1.pdf

 民進党は4項目の成立阻止をめざし、「国家の重要政策が悪質な政治闘争の犠牲にされてはならない」「台湾が混乱することを防ごう」と反対投票を呼び掛け、10月30日に桃園市内で最初の説明会を開いて活動を本格化し、投票日までに全国各地で100回に及ぶ政策説明会を開くそうです。

 一方、第18案と第19案を提起している中国国民党は、この公民投票を蔡英文政権に対する不信任決議と位置づけ、11月1日に党本部前からの宣伝カーの出発式をもって全国遊説を開始したそうです。

 最大の焦点は、飼料添加物ラクトパミンを使用した豚肉の再禁輸の賛否を問う第18案だと報じられています。

 日本の台僑でつくる全日本台湾連合会も第18案を最大の焦点と捉え、12月11日、「世界に向けて台湾人の叡智を結集し良識を以って正しい選択を求む!」と題する声明文を発表しました。下記にその全文をご紹介します。

—————————————————————————————–世界に向けて台湾人の叡智を結集し良識を以って正しい選択を求む!

 来る12月18日に台湾全国で4つの案件で国民投票が行われます。(1)アメリカ産豚肉や関連製品の輸入全面禁止、(2)全国で行われる選挙が住民投票の実施決定から半年以内にある場合、両者を同日実施、(3)台湾中油の第3天然ガス受け入れ基地を桃園市大潭の藻場海岸および海域から移転、(4)第4原子力発電所の稼働について賛否を問う4つの案件。

 中でも最大の焦点は、世界中の家庭で安心安全な食べ物として食べられているアメリカ産の豚肉を科学的根拠なしに「毒入り豚肉(毒豚)」と称して輸入禁止するという第一案件である。これは中国国民党が「党利党略」で輸入禁止の宣伝プロパガンダを展開し、アメリカ畜産業者を侮辱しているだけではなく、台湾の経済、安全保障に重大な不利益を齎している。

 一方で、豚肉と同じ基準で輸入されているアメリカ産牛肉については、何一つ問題とすることなく食べ続けている彼ら中国国民党の主張は正に非科学的であり、これに台湾人が国民投票で同意したとなれば世界中に台湾人は愚民であるとの恥を晒すことになるだけでなく、CPTPPへの参加も絶望となる。それによって最も利益を享受するのは中国である。このようなあまりにも愚かな案件に決して「同意」してはならないことを本会一同強く訴えるものである。

 中国国民党が悪意で以って掲げる4つの案件について、全日本台湾連合会は国内の台湾人に向けて叡智を結集し良識を以って正確な「不同意」の選択をする国民投票を強く呼掛けます。

 2021年12月11日

                                    全日本台湾連合会                                    会長 趙 中正                                    常務理事会・理事会一同

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