陳水扁総統「人権侵害の独裁者を偲ぶのは明らかに不適当」と理由を説明
陳政権、蒋介石「中正記念堂」を「台湾民主記念館」に改名
【5月20日 読売新聞】
【台北=石井利尚】台湾の陳水扁政権は19日、蒋介石・元総統を記念する「中正記念
堂」を「台湾民主記念館」に改名し、一帯を「台湾民主公園」と命名した。
陳総統は改名式典で、「蒋介石は(国民党政権が台湾住民を武力弾圧した)2・28
事件の元凶で、人権を侵害した独裁者をしのぶのは明らかに不適当だ」などと、蒋介石
を指す「中正」の文字を削除した理由を説明した。
「中国」「中華」の呼称を「台湾」に改名する陳政権の「正名(名を正す)政策」の
一環で、国民党(現・最大野党)を率いた蒋介石の威光を否定する「脱蒋介石」キャン
ペーンの仕上げといえる。
国民党は強く反発。同党が市長ポストを握る台北市は、歴史的建造物に、台湾民主記
念館と記された垂れ幕を掛けたことを「違法行為」(台北市長)と非難した。
中正記念堂には、蒋介石ゆかりの品や文書、車などが展示されている。蒋介石の歴史
的功績が強調され、日本人観光客も多く訪れてきた台湾有数の観光スポット。独立派が
撤去を求めている建物内の巨大な蒋介石像の処置も、今後議論されそうだ。