【鍛冶俊樹の軍事ジャーナル:2020年3月17日号】
武漢ウィルスの世界的蔓延について、中国に謝罪を求める、求めないなどという論争が沸き起こっているが、この論争自体が中国共産党の論点ずらしの世論工作に他ならない。何故なら、今、中国に本当に求められているのは謝罪ではなく情報公開だからだ。
中国の武漢で、新型コロナウィルスによる肺炎が確認されたのは昨年11月であった。そして12月上旬からは感染拡大の情報がネットなどにも流れていたにも拘わらず、中国政府が公式に新型肺炎の存在を認めたのは12月末だった。
武漢にはウィルス感染症の研究所が4か所にある。2003年に武漢でウィルス性肺炎SARSが発生し世界的に拡大した。この時、中国政府自体が、なかなか事態を掌握できなかった反省に立って、武漢に研究所が造られ、武漢はウィルス研究の世界的メッカになった訳だ。
従って、昨年、ウィルス性肺炎の拡大について中国当局はいち早く事態を掌握していた筈である。なにしろ、そのために研究所を四つも造っていたのだ。ならば何故、年末まで新型肺炎の存在すら認めなかったのか、は重大な問題だ。
これらの研究所は中国人民解放軍との深い関わりが指摘されており、軍関連施設として研究成果の軍事転用は当然であった。生物化学兵器は国際法により禁止されているが、独裁国家では秘密裏に研究が進められている。
ウィルスは感染力が季節により左右され、殺傷能力が低いことなどから兵器に転用できないとされていたが、2003年SARS騒動で、図らずも経済的に打撃を与える能力が確認されたので、ウィルス兵器の開発が武漢で始まったのは当然の成り行きであろう。
まさに、その開発段階で、生体実験に用いられた動物の死骸を産廃業者が海鮮市場に横流しして、市内に感染が広がったとの説は極めて説得力に富む。というのも開発中のウィルス兵器の流出は軍事機密の流出に他ならないからだ。
当局としては機密の流出を阻止する、すなわち事態の隠蔽で動からざるを得なかった。こう考えなければ、早期に事態を掌握していながら、事態の隠蔽に努めた中国当局の姿勢について、他に説明のしようがないであろう。
世界各国が中国に情報の公開を求める中で、軍事機密の保持に努める中国は、世界各国が中国に謝罪を求めていると話をすり替えて、情報の公開をしないで済むように世論工作に励んでいるのである。
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