チェコの下院議長一行160人が訪台 ホンジュラス外相は北京に到着

 昨日(3月25日)の午後6時ころ、チェコ共和国のマルケタ・ペカロワ・アダモワ下院議長が160人ほどの訪台団を率いて台湾の松山空港に降り立った。

 本誌でお伝えしてきたように、近年はヨーロッパからの政府要人の訪台が急増している。

 なかでも、2021年11月に首都ヴィリニュスに事実上の大使館となる代表事務所に台湾の名を冠した「駐リトアニア台湾代表処」を開設したリトアニア共和国と、首都プラハ市と台北市が姉妹都市協定を結び、2021年8月、ミロシュ・ビストルチル上院議長やプラハ市のフジブ市長など代表団90人が訪台したチェコ共和国が突出した印象を与えている。

 それに続くのがドイツ連邦共和国だろう。去る3月21日、連邦教育研究省(BMBF)のベッティーナ・シュタルク・ヴァッツィンガー大臣が台湾を訪問している。ドイツからの閣僚訪台は1997年以来26年ぶりとなる。

 いずれも、台湾との経済協力、特に半導体分野での協力を求めてのことだが、リトアニア議会が中国による新疆ウイグル自治区のウイグル族への圧力をジェノサイドと認定する決議案を可決し、中国中東欧首脳会議(17プラス1)からの離脱を宣言したように、リトアニア、チェコ、ドイツなどが台湾との関係強化をはかる背景には、ウイグル族への人権弾圧や「一帯一路」経済圏構想への幻滅など中国自身が招いた反中感情が誘因となっている。

 一方、その中国との関係を強化し、台湾と断交しようとしている国もある。カリブ海に面する中央アメリカのホンジュラス共和国だ。

 カストロ大統領は3月14日に中国との公式な関係の樹立を取り計らうようレイナ外相に指示、レイナ外相は22日に中国へ出発した。中国・北京に到着したのは3月25日、奇しくもチェコのアダモワ下院議長一行が台湾に到着したほぼ2時間後の午後8時ころだった。

 片やチェコは台湾との関係を強化しようとチェコ史上最大規模の訪台団を派遣、片やホンジュラスは80年以上にわたった台湾との外交関係を断つために中国を訪問。なんとも対照的な光景だった。

 蔡英文総統と馬英九・前総統の動きも対照的だ。

 蔡英文総統は3月29日から4月7日までグアテマラとベリーズの中米2カ国を訪問し、往路はニューヨーク、復路はロサンゼルスに立ち寄り、ケビン・マッカーシー下院議長ら米国側の要人と会談すると伝えられる。

 一方、馬英九・前総統は3月27日から4月7日まで中国を訪問し、辛亥革命や日中戦争に関する史跡の訪問や大学での学生との交流を予定し、南京では「南京大虐殺記念館」も訪れるという。

 蔡英文総統と馬英九・前総統の発言などに意を払いつつ、チェコ、ドイツ、ホンジュラスの今後の動きを注視ししていきたい。

—————————————————————————————–チェコ下院議長、台湾に到着 蔡総統と会談へ【中央通信社:2023年3月25日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202303250004

 (台北中央社)チェコのマルケタ・ペカロワ・アダモワ下院議長が25日午後、政府専用機で台北松山空港に到着し、游錫●(ゆうしゃくこん)立法院長(国会議長)や呉[金リ]燮(ごしょうしょう)外交部長(外相)らの出迎えを受けた。(●=方方の下に土)

 アダモワ氏の台湾訪問は初めて。空港で開かれた記者会見では、150人を超える訪問団は「史上最大規模だ」と紹介し「今回の訪問を通じて半導体分野での協力の深化につなげたい」と期待を表明した。

 29日までの滞在期間中、蔡英文(さいえいぶん)総統や陳建仁(ちんけんじん)行政院長(首相)らとの会談のほか、立法院(国会)での演説も予定されている。

 チェコからは2020年にもミロシュ・ビストルチル上院議長が訪台。立法院での演説で「私は台湾人」と発言し、台湾への連帯を訴えた。

(鄭清元/編集:羅友辰)

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