去る1月10日、産経新聞社のボン特派員やモスクワ特派員、編集委員を歴任し、外交評論家として活躍された日本李登輝友の会元理事の澤英武(さわ・ひでたけ)氏が老衰により逝去されました。
享年96。
すでに葬儀は1月19日に近親者で済まされたそうです。
これまでのご教導に深甚の謝意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
澤氏は、日本李登輝友の会設立時から理事に就任し、2011年(平成23年)1月からは常務理事に就かれました。
本会が「政策提言」を発表し始めた2012年8月には「日米台の安全保障等に関する研究会」(川村純彦・座長)のメンバーとして政策提言の草案作成にも参画し、ドイツやロシアの専門家として貴重なご見解を示していただきました。
また台湾セミナーでも、報道の自由をテーマに日中記者交換協定などについてお話しいただきました。
かつて森喜朗元首相が「3島返還」で決着を図ることも選択肢との認識を示したとき、澤氏は、首相経験者たる人物の発言として聞き捨てならないとして、産経新聞に「北方四島返還要求の原則を崩すな」と題する烈々たる一文を寄稿されたことを思い出します。
澤氏85歳の2013年(平成25年)1月12日のことでした。
普段は温厚な澤氏でしたが、北方領土問題についてよく知るロシア問題の専門家として筆を執ったそうで、その気骨たるや日本人の鑑と思ったことを覚えています。
下記にYouTube「東京発信・cool eyes」に出演されたときの映像と略歴をご紹介します。
◆東京発信・cool eyes:外交評論家・澤英武氏(2017年9月14日) ロシアのアジア太平洋戦略。
中露は北朝鮮の核兵器を怖くない理由。
https://www.nicovideo.jp/watch/so31924852
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故 澤英武(さわ・ひでたけ)氏1928年(昭和3年)、静岡県韮山生まれ。
1945年、海軍兵学校(第77期)に入校するも終戦。
旧制二高を経て東京大学工学部卒業。
1953年、産経新聞社入社。
1958年、産経新聞を退社して第3次南極観測隊に参加するも翌年に復職し、ボン特派員やモスクワ特派員などを経て編集委員。
1988年に退社後、外交問題を中心に評論活動を展開。
主な著書に『アンドロポフ書記長への手紙』『赤い貴族たち─クレムリンを動かす権力群像』『ソ連解体新書─ゴルバチョフがいよいよ危ない』『ソ連が消える日─ゴルバチョフの誤算と悲劇』など。
訳書に『あるクライマーの生涯』(エミリオ・コミチ)。
日本国際フォーラム参与。
2025年1月10日、逝去。
享年96。
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