刊「房日新聞」の社説「展望台」を担当していた客員論説委員の古市一雄(こいち・かず
お)氏が『地方の品格─房日新聞「展望台」からのメッセージ』(まどか出版)を出版、
本誌でもご紹介した。
その古市氏がこのたび、第2弾として『続・地方の品格─南房総からの日本再考』を上梓
された。
古市氏は本書で「日台共栄の理念を日本人は持つべきではないだろうか」(346ページ)
と説いているように、日台関係を重視し、本の略歴にも堂々と「日本李登輝友の会正会
員」と記す本会の会員だ。その台湾観はバランスが取れている。
前著もそうだが、本書も社説「展望台」を収録している。台湾とは関係がないテーマが
ほとんどだが、本誌で古市氏執筆の台湾に関する「展望台」を何度かご紹介したことがあ
るように、前著では「微笑ましい便りから」と「台湾との交流に活路」の2編収録に止まっ
たが、本書では9編も収録している(「周英明先生のこと」「『正論』での周英明先生追悼
文」「李登輝、後藤新平そして日本精神」「李登輝氏の訪日から学ぶもの」「李登輝訪日
の講演と旅の全記録」「台湾総統選挙に関心を」「近くて近い地域、国が必要」「気にな
る近隣の国際情勢を読む」「台湾総統選挙視察記」)。
すでに「房日新聞」の客員論説委員を辞し、現在は2009年に当選した鴨川出身の石田三
示(いしだ・みつじ)衆議院議員の政策担当秘書と鴨川ロータリークラブ会長という2つの
大役をこなしているそうだ。
本書の「あとがき」で「李登輝元総統が政治哲学としていた『権力は借りもの』という
精神は常に持っていなければ、と私は考える」(365ページ)とつづり、李登輝精神を鑑と
して「与えられた借りものの権力を遺憾なく行使し、地域から国政に反映させ」たいとす
るなど、多彩なテーマをつづる中に台湾の存在がおおきく位置している。
ちなみに、前著も本書も「まどか出版」から出され、担当編集者はいずれも、本書で
「日本の台湾統治に興味を持ち、ある縁故から金(美齢)先生、周(英明)先生の指導を
受けるようになった」(68ページ)とさりげなくつづる、古市氏の長男である古市利雄
(こいち・としお)氏である。
■著者 古市一雄
■書名 続・地方の品格─南房総からの日本再考
■体裁 四六判、上製、368ページ
■版元 まどか出版 http://www.madokabooks.com/
■定価 1,890円(税込)
■発売 平成23年(2011年)5月16日