昨年7月、アルピニストの野口健(のぐち・けん)氏は台湾に渡り李登輝元総統と対談し
た。それは月刊「Voice」11月号に掲載され話題となったが、なぜ、野口氏が「台湾」なの
だろうといぶかしむ声も少なからずあった。
そこで、昨年の12月、9日には台北で、そして東京でも23日に「日台共栄の夕べ」で講演
していただいた。
李元総統との対談も収録した野口氏の新刊『それでも僕は「現場」に行く』(PHP研
究所)がこのたび出版された。李元総統は「野口さんのような若い方々に、ぜひ日本の次
代のリーダーとしてがんばっていただきたい」と推薦し、石原慎太郎都知事も「自分の人
生を踏まえながら、生死を賭して行動できることが素晴らしいし、羨ましい。この国のた
めにも、まだエベレストで死んでもらっては困る」と推薦している。
前々から野口氏の著書を読み、お会いして話しをしていて、バランスのいい人だと思い
つつ、「いったいこの人のエネルギーはどこから出てくるのだろう」と思わされた。
アルピニストがエベレストや富士山でごみを拾い、遺骨を収集し、台湾に関心を寄せる。
最近は「センカクモグラ」を守ろうとして会を設立し、東日本大震災ではすぐに寝袋1000
袋をかついで被災地に入る。
その「解」が本書の中で明かされていると思った。本書を読んでいると、知らず知らず
のうちにからだの中にエネルギーがたまっていくような心持ちがするから不思議だ。一読
をお勧めしたい。
■著者 野口 健
■書名 それでも僕は「現場」に行く
■体裁 四六判、上製、288ページ
■版元 PHP研究所
■定価 1,575円(税込)
■発売 平成23年(2011年)6月22日
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-79419-8