鳥取県といえば、近年はテレビアニメ化された漫画「名探偵コナン」や「YAIBA」の作者、青山剛昌(あおやま・ごうしょう)氏が東伯郡北栄町(ほくえいちょう)の出身地であることから、同町は「コナンの里」構想で町興しを行ってきています。
そこで、協定締結の記念として共同でマンガコンテストを開催するそうです。中央通信社と台中市政府「市政新聞」が報じているので、下記に紹介します。
なお、北栄町は2010年7月27日に台中県大肚郷(現在の台中市大肚区)と「友好交流協定」を締結しています。鳥取県の自治体としては三朝(みささ)温泉で有名な三朝町が台中県石岡郷(現在の台中市石岡区)と2007年3月6日に締結した「友好交流協定」に続く都市間提携でいた。
そもそも鳥取県と台中市の交流は、1997年に三朝町から石岡郷に梨の接木用に穂木(ほぎ)を輸出したことに始まります。梨は冬を越さないと実をつけませんが、台中市は温暖な気候のため花芽ができず、そこで二十世紀梨の産地の鳥取県などから輸入した穂木を接木することで梨を結実させました。その後は毎年、同町から石岡郷に穂木が輸出されているそうです。
このような20年を超える交流を経て鳥取県と台中市の「友好交流協定」締結に至っています。しかし、けっして順調な道のりだったわけではありません。
三朝町と石岡郷が交流を深めていた2006年4月、中国の羅田廣・駐大阪総領事(当時)から、「一つの中国」の原則堅持を求め、台湾の自治体との友好協定の締結などの交流自粛を要請する書簡が届き、5月には羅総領事自ら鳥取県庁に乗り込んで当時の片山善博(かたやま・よしひろ)知事に「申し入れ」という圧力をかけたことがありました。
しかし、片山知事は「内政干渉だ。日本では地方自治体がどこと交流しようと法律上の問題はない」と突っぱね、三朝町側も「町には要請はないし、自粛と言われても困る。今後も調印に向けて事務レベルで内容を詰めていきたい」(2006年5月25日付「日本海新聞」)として粛々と協定締結に向けて準備を進め、翌年3月の締結に至っています。
本誌もこのとき「鳥取県に中国の不当な圧力に屈しない熱いエールを、そして中国大使館と大阪総領事館に抗議の声を届けよう」と呼び掛けたことを思い出します。
実は、岡山市と新竹市の「友好交流都市協定」(2003年4月)や仙台市と台南市の「交流促進都市協定」(2006年1月)でも、中国からかなり強い圧力をかけられましたが、萩原誠司・岡山市長(当時)と梅原克彦・仙台市長(当時)は毅然としてはねつけ都市間提携を結びました。
今回の鳥取県と台中市の「友好交流協定」締結に至るまでには、このような歴史があったことに思いを馳せますと感慨深いものがあり、心から祝意を表します。
なお、中央通信社の記事に「昨年10月には、台中市観光旅遊局長と鳥取県観光交流局長が観光交流協定に調印した」とあります。
この観光交流協定については、本誌2018年6月9日号で、鳥取県が6月6日に今年11月3日に台中市と友好提携を締結すると発表したことを伝えた際、「2017年10月23日には、林佳龍市長の立会いの下に穂木の受入先だった台中市と観光交流協定を結んでいます」と短く報じただけでしたので、別途、詳しく紹介します。
◆台中、日本鳥取縣締結友好城市 合作舉辦漫畫競賽[台中市政府市政新聞:11月2日] https://www.taichung.gov.tw/1135955/post
————————————————————————————-台中市、鳥取県と友好交流協定 マンガコンテストを共同で開催【中央通信社:2018年11月2日】http://japan.cna.com.tw/news/asoc/201811020007.aspx
(台中 2日 中央社)台中市は2日、鳥取県と友好交流協定を締結した。林佳龍台中市長が同日、同市政府庁舎で平井伸治鳥取県知事と協定書に調印した。両県市はマンガによる地域振興を進めていることから、締結記念として共同でマンガコンテストを開催し、交流を深めていく。
鳥取県によると、台中とはナシの穂木の輸出をきっかけに1997年から交流を開始。青少年や観光、文化、スポーツなどの分野で交流を行ってきたという。昨年10月には、台中市観光旅遊局長と鳥取県観光交流局長が観光交流協定に調印した。
林市長は、今後双方の交流はより多元的になるだろうとし、関係の深化に期待を寄せた。平井知事は、マンガコンテストを通じて双方の漫画産業の交流がより深まればと語った。
マンガコンテストの応募者は台湾居住者が対象。国籍は問わない。「交流」をテーマに、1コママンガと4コママンガを募集する。最優秀賞受賞者には賞金1万台湾元(約3万7000円)と3泊4日の鳥取旅行が贈られ、来年2月23日に鳥取で開催される授賞式に招待される。応募期間は2日から来年1月10日まで。
(郭雪卿/編集:名切千絵)