東京大学の「定量生命科学研究所」と国立台湾大学の「生物医学先端計算・画像処理センター」は5月24日、「学術協力活動に関する覚書」を締結した。
今後は「相乗的に優秀な人材の交流や研究活動の推進、イノベーションの実現を促進し、両機関だけでなく両国、ひいては人類全体に利益をもたらす」ことを目指すという。
定量生命科学研究所が6月26日に発表したところによれば、調印式は台北 国立台湾大学医学部附属病院がんセンター分院で行われ、東京大学定量生命科学研究所の白髭克彦所長と国立台湾大学生物医学先端計算・画像処理センターの李百祺センター長が臨み、両機関の研究者や職員、学生が参加し、相互に交流を深めたという。
東京大学定量生命科学研究所は今年で設立7年目、国立台湾大学生物医学先端計算・画像処理センターは設立2年目という新しい研究機関で、共通点として、双方が「基礎研究を重視し、革新的で学際的な研究の実施により世界最先端のイノベーションを生み出すことを目指し設立された意欲的な教育研究機関」から今回の覚書締結に至ったそうだ。
日台間では、企業間の提携や自治体間の都市間提携は言うに及ばず、姉妹校や学術提携などの学校同士の提携以外にも、鉄道、湖、山、鉄道、神社と廟、温泉、動物園、博物館、水族館、弁護士会、教育委員会、議会、銀行、メディア、ゴルフ場、自転車道、マラソン、空港等の提携もある。
網の目のように結ばれていて、日本と台湾をしなやかにして強靭な関係にしている。
国交がない国同士で、日台間ほど提携関係を結んでいる例があるのかは定かではないが、恐らく類例はないだろう。
それだけに、台湾との対話に消極的な日本政府の姿勢があらわになる。
台湾はすでにかつての中国を代表していた中華民国ではない。
民主化という脱皮を経て、中華民国という国名は同じでも台湾省も福建省もない台湾になった。
東京大学と台湾大学が研究機関とはいえ、学術提携を結んだことに時代相がよく反映されている。
いま日本は、日中共同声明という桎梏を解き、台湾との政府間交流に乗り出すときを迎えている。
。
※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。