【新刊紹介】片倉佳史『台湾新幹線で行く台南・高雄の旅』

いま、台湾の見どころ食べどころを語らせたら、恐らくこの片倉佳史(かたくら よし
ふみ)氏の右に出る人はいないだろう。台湾の鉄道に関してもだ。

 その片倉氏が、1月に開業した台湾版新幹線やその沿線の案内をする『台湾新幹線で行く
台南・高雄の旅』を出版した。オールカラーで、自ら撮影した写真を数多く使い、冒頭の
「台湾新幹線に乗る」というコーナーだけでも34枚掲載している。写真を通して著者の気
持ちも伝わってきて、写真を見ているだけで旅心に誘われる。

 『指差し会話帳』を書いた著者だけに、痒いところに手が届くような文章も読みやすい。
10年を超えた「台湾体験」がディテールにしっかり生きていて、町の案内も食べ物の案
内も、安心して読める。

 また鉄道ファン、すなわち「鉄ちゃん」である著者ならではのアイディアも満載で、ど
の場所にも「アクセス」欄が設けてあり、所要時間や運賃まで記されている。バスについ
ても記されている。これなら初心者でも迷うことはなさそうだ。

 鉄道がこの世に出現して以来、歴史は鉄道とともに作られてきた。今後、台湾の旅はこ
の台湾新幹線抜きには語れなくなる。本書はこの4月初旬に刊行されたばかりだが、すで
に「バイブル」としての地位を占めていると言ってもよい。

                 (メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原正敬)

■書名 台湾新幹線で行く台南・高雄の旅
■著者 片倉佳史
■版元 まどか出版 http://www.madokabooks.com/
■発行 平成19年3月31日
■体裁 A5判変型、並製、176頁
■定価 1,575円(税込)

*片倉佳史氏のブログやプロフィールなどは下記から。
 台湾特捜百貨店 http://katakura.net/


魅惑の高速鉄道で台湾南部へ 前書きにかえて

 台湾島の南北を結ぶ夢の超特急。台湾高速鐡路(以下台湾高鉄)が2007年1月、待望の
開業を果たしました。最高速度は時速300キロ。アイボリーホワイトのボディにオレンジと
黒のラインが入った700T型と呼ばれる車両が緑の大地を駆け抜けます。

 この高速鉄道は日本の新幹線システムが海外に輸出された初めてのケースとなりました。
人呼んで「台湾新幹線」。実際には日本と全く同じというわけではないのですが、やはり
感慨は禁じ得ません。車内も日本の新幹線に似た設計で、無駄のないシンプルなデザイン。
軌道が新しいために揺れも少なく、快適な旅が楽しめます。

 本書は台湾高鉄を利用して台南や高雄、そして台湾南部をくまなく旅してもらうことを
目的に書きました。これまでは交通が不便だったこともあり、南部をじっくり回るのは容
易ではありませんでした。私も「南部や東部の田舎をのんびりと旅してみたい、でも時間
が足りない」といったお便りをよくいただきました。しかし、今回、台湾高鉄の開業で、
そういった状況は一変しました。極端な話、台北から日帰りでも南部を訪れることが可能
になったのです。

 台湾高鉄は台北から左營までの間に全8駅を設けています。本書ではその中の台中、嘉
義、台南、左營(高雄)の各駅を拠点に、大小80の街を取り上げています。どこも個性が
豊かで興味の尽きないところばかりですが、必ずしも交通の使が良いわけではないので、
在来線やバスの情報も詳しく載せてみました。また、内容に客観性と幅をもたせるため、
サポーターズボイスとして、日頃から取材や旅行をともにしている台湾好きに一言コメン
トを寄せてもらいました。

 それでは、この本を手にしてくれた皆さんの「台湾体験」がより充実したものになるこ
とを心から祈っています。ぜひ、知られざる台湾を探しに旅に出てください。

 一路順風!

 2007年3月5日
                                    片倉佳史



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