昨年の年も押し詰まった12月28日付産経新聞の読者投稿「談話室」欄に、地図帳問題に
関して高校で国語を教えられている江畑哲男氏の投書が掲載されました。
ご記憶の読者もおられると思いますが、江畑氏は東葛川柳会会長で、昨年3月27日から
30日にかけて東葛川柳会として初訪台し、台湾川柳会と合同句会を催したことを「千葉の
東葛川柳会が台湾川柳会と初の合同句会−人も日本語もじつに生き生きとしている『台湾
を選んで良かった』」と題して本誌5月21日付第173号でお伝えしたことがあります。
ちなみに、東葛川柳会は昭和62年(1982年)10月に創立され、現在、会員400人ほどを擁
する日本川柳会加盟の団体。毎月末の土曜日、千葉県柏市で句会を催し、月刊誌「ぬかる
道」(B5判、50ページ)を発行している。この誌名「ぬかる道」の由来は、俗諺の下総
名物「悪女こんにゃくぬかる道」(こんな句ぬかる道)から借用しているそうです。
江畑氏のご指摘により、台湾を中国領とする地図表記問題は社会科だけではなく、国語
教科書にも及んでいることが判明しました。その他にも、千葉の会員の方から、国立天文
台編『理科年表』の「世界のおもな高山」の項で、台湾の玉山(旧称「新高山」)の所在
がなんと「中国」と表記されていることを伝えてきています。
また、本誌読者の方からは「成美堂出版の『2006年版世界地図』と小学館の『世界情報
地図』には中台間に国境線なし。ただちに抗議すべきとおもいます」という投稿もいただ
いています。
これらについては、近々また改めて詳細をお伝えしますが、この地図帳問題の根がけっ
して浅くないことを改めて知らされました。この地図帳問題には本年も引き続き取り組ん
でまいりますので、皆様からの情報などのご協力をお願いします。 (編集部)
台湾東側に引かれた国境線(産経新聞 平成17年12月28日付「談話室」欄)
高校教諭 江畑哲男 53
台湾があたかも中華人民共和国に属するといわんばかりの地図が問題になっている。産
経新聞でも、十一月二十七日付の正論欄で杏林大学客員教授の田久保忠衛氏が問題点を整
理していた。
趣味の川柳を通じて台湾川柳会の方々と交流を深めてきた私も、台湾の現実が少しずつ
理解できるようになった。台湾には格調高い日本語を駆使して、短歌や俳句、川柳などの
文芸に親しむ方が少なくない。
こうしたなか、学期末試験の問題を作成していたある日、漢文の地図を見て驚いた。
中国古典文学関連の地図に現在の国境として台湾の東側(太平洋側)に線が引かれてい
るではないか。他の教科書や副読本も調べてみたら大同小異だった。わずかに数社、国境
線をあいまいにしている出版社があった。
地図表記の問題は社会科だけではなかった。漢文でも台湾が中国の一部だと誤解させる
ように仕向けられているのではないかと感じた出来事だった。 (千葉県我孫子市)