らず日本の領土だった台湾について「台湾(1945 中国へ返還)」と記述し、大学受験で最
も使われているという山川出版社の『詳説 日本史B』も、脚注とは言え「台湾は中国に返
還され」と記述し、文部科学省の検定に合格していることなどを踏まえ、山谷えり子・参
議院議員が去る2月28日、「台湾返還に関する質問主意書」を提出した。
3月9日、野田佳彦総理から「答弁書」が出された。ところが、山谷議員が政府見解を述
べてお茶を濁すのではないかと予想し「台湾の領土的な位置付けについての質問ではな
い」と釘を刺していたにもかかわらず、政府見解をそのまま出してきて、台湾を返還した
のか否かについてまったく答えていない。テストなら〇点だ。が「答弁書」の全文だ。
下記にその全文を掲載するが、現在の日本政府の見解は、山谷えり子議員が「質問主意
書」で取り上げた当時の池田勇人総理の答弁、即ち歴史事実に基づいた日本政府の見解か
らかけ離れ、台湾の領土的地位に関しては「認定を行う立場にない」と、口をつぐむ姿勢
に終始している。
外務省の担当者が作文したのだろうが、いったい何を、どこを恐れているのだろう。こ
の官僚の作文を唯々諾々と受け入れるのは、民主党が「政治主導」を掲げて政権交代した
公約にも反する。ましてや歴史事実について質問しているにもかかわらず、まったく答え
ていないのだから、問題外だ。
山谷議員は、このような「答弁書」が出てくることを予想していたようで、今後は委員
会で取り上げていくことを考慮しているという。
◆参議院:第180回国会「質問主意書」と「答弁書」(提出番号:43)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/180/syuisyo.htm
答弁書第四三号
内閣参質一八〇第四三号
平成二十四年三月九日
内閣総理大臣 野 田 佳 彦
参議院議長 平 田 健 二 殿
参議院議員山谷えり子君提出台湾返還に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員山谷えり子君提出台湾返還に関する質問に対する答弁書
一及び四について
我が国は、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)第二条に従い、台湾に対す
る全ての権利、権原及び請求権を放棄しており、台湾の領土的な位置付けに関して独自の
認定を行う立場にない。
二について
御指摘の寄稿については承知しているが、台湾の領土的な位置付けに関する我が国の立
場は一及び四についてで述べたとおりである。
三について
御指摘の教材は、地理歴史科に属する学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十
一号)別表第三の下欄に掲げる科目以外の科目として、東京都立高等学校が独自に設けた
科目である「江戸から東京へ」の授業に用いるために、東京都教育委員会が作成した教科
用図書であると承知している。東京都立高等学校が当該科目においてどのような記述の教
科用図書を使用するかについては、東京都教育委員会が適切に判断すべきものであると考
えている。