「暴漢と殺し屋」の「聖火の行進」[衆議院議員 西村 眞悟]

【4月23日 西村真悟の時事通信 No.340】

 今、北京オリンピックの「聖火」と称するものが、世界中で注目を浴びている。「聖
火」はロンドンやパリの街中から始まって諸国の都市を廻っている。その「聖火」を守
るために、多数の在留中国人が押しかけ、チベットに自由をと訴える人々を暴力で排除
している。

 また、アメリカのCNNのコメンテーターであるキャフティー氏が、中国のチベット
侵略を評して「(中国政府は)暴漢であり殺し屋である」と述べたのに抗議して、多く
の在アメリカ中国人や中国系アメリカ人がCNNのビルを取り巻き、「全中国人への謝
罪」を要求している。

 そして、その「聖火」はもうすぐ日本の長野市に来るらしい。

 よって、次の通り述べておきたい。

 まず第一に、やはり中国つまり中国共産党が「オリンピック」を開催する資格はない。
大阪は中国とこの度のオリンピック開催を競い合い敗れたが、大阪で開催しておけばよ
かったのだ。

 あのときのオリンピック開催地を決める国際オリンピック委員会の委員達が、中国か
ら如何なる「接触(つまり買収饗応)」を受けて北京開催に賛成したのか、その実態を
振り返り点検する必要がある。

 次に、この度の中国政府曰くの「チベット暴動」は、チベットに対する中国の「侵略
と暴力による弾圧」であり、国際社会から抗議されて当たり前である。つまり、CNN
のコメンテーターであるキャフティーが正しいのだ。キャフティー氏は、自らの言論を
曲げていないと思うが、断じて次の正論を貫いてほしい。

「(中国政府は)暴漢であり殺し屋である」。

 次に、この「聖火の行進」に対する各国での抗議に対する中国政府の反論と中国人に
よる反発の様子は中国というものの「本質」を見事に明らかにしている。

 昨年、EUは中国による産業スパイに関しておおよそ次のような調査結果を公表した。

「各国の大学にいる中国人学者は百パーセント中国政府のスパイである。留学生もほぼ
スパイとみてよい。在留の一般中国人も中国政府のスパイになりうる。なぜなら、彼ら
の家族は本国にいて中国政府の監視下にあるからである」

 このEUの発表した事実は、日本にもアメリカにも当てはまる。従って、この前提の
下に、アメリカにおけるCNNに対する抗議デモや、二十六日に日本の長野における「聖
火の行進」に二千名の中国人がバスで送り込まれるという行動(現象)を理解すべきで
ある。

 つまり、中国は昔も今も、世界中で「文化大革命的抗議運動」を起こすことができる。
結局、中国は「全体主義国家」なのだ。そして、「人民」は今も昔も魯迅が指摘したよ
うに「阿Q]のままだ。そして、この民衆を統治し操作する中国の権力者の本質はCN
Nのキャフティーが言うように「暴漢と殺し屋」である。

 さらに、中国政府のスポークスウーマンの記者会見における発言を観て一種異様な感
を懐かない人はいないと思う。これほどまでに「嘘」を真実のように言い続け、よくも
まあ、ここまで自分が正義であると平然と説明できるのか、と感心する。彼女は、黒い
カラスを手に持ちながら、これは白いカラスだと無表情に自信に満ちて執拗に説明して
いるのである。これは毒餃子に関する説明でも感じた異様さである。彼らは、如何に邪
悪であろうとも自己を正当化しうる一種異様な才能を持つ人種だ。つまりあの中国政府
スポークスマンおよびウーマンは文字通り厚顔無恥である。

 そこで、以上を総合して私は思うのである。「中国人は歴史捏造と自己正当化の名人
である」と。この捏造の才能は、今や家電製品や映画・漫画を始めあらゆる方面に発揮
されている。

(もっとも、中国という地域の歴史は、捏造しなければ書けない。何故なら、中国の権
力交替は易姓革命思想により、前の政権が邪悪であったとして初めて現政権の正当性が
基礎付けられるからである。)

 そして、世界がチベット弾圧に関する中国のこの傍若無人の捏造と居直りを目の当た
りに観た現在、我が国は「南京大虐殺」を始め、中国から世界に仕掛けられた事実無根
の我が国に対する悪宣伝を払拭する好機であると判断するべきである。

 さて、この中国から、また、胡錦濤という国家主席が五月に来日するという。対する
は、我が国の「人のいやがることはしない」という御仁。

 しかしながら、彼は総理大臣なのであるから、我が国の名誉と国益の為に、最低次の
ことについては、相手はいやがるが言わねばならない。

一、チベット人の自由と人権を無視してはならない。
一、我が国に照準を合わせて実戦配備している核弾頭ミサイル「東風21」を撤去せよ。
一、北京オリンピック開会式に、御皇室が参加することはできない。
一、我が国の領空侵犯と経済水域での中国漁船の違法操業を止めさせよ。

 福田総理が、胡錦涛主席に対して、チベットに言及しなければ、日本は中国と同じ価
値観を持つ属国かと世界は評価するであろう。

 福田総理が、自国に核ミサイルの照準を合わせられていて、それに言及しないで胡錦
濤を歓迎すれば、その歓迎自体が日本国民に対する裏切りであり、また日本も異様な国
となる。

 マスコミは報道しないが、近年の中国航空機による我が国領空侵犯は毎年百回を超え、
我が国の経済水域における中国船の違法操業は、現認し得ただけでも一万六千隻以上に
上っているのである(2005年)。これはもはや我が海洋資源の簒奪ではないか。福
田総理は、ここらで「あまりなめるな」と釘を刺しておくべきである。    (了)



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