新型コロナ急増の裏で中国人の不法上陸が発覚した台湾  黄文雄(文明史家)

新型コロナ急増の裏で中国人の不法上陸が発覚した台湾  黄文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2021年5月19日】*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部が付したことをお断りします。

◆コロナ感染が急拡大した台湾は全土を警戒レベル3に

 台湾でコロナ感染が拡大しています。台湾のメディアは毎日コロナ状況について報道し、陳時忠衛生福利部長(衛生相)は頻繁に会見を開いてワクチン状況などの説明をしています。

 5月17日の新規感染者は333人、5月18日は240人。この時点の累計感染者数は2260人、死者は累計14人となりました。  NHKの報道では、国際線パイロットが感染源かもしれないと言っています。台湾の報道では、感染が多い地域は台北市万華地区。万華地区に住む高齢の女性は、コロナ感染が確認された直後に自宅で倒れて亡くなりました。そのほか、5月19日の現地報道では、台湾大学病院や東亜病院などの医療機関でクラスターが起こっているとのこと。中華郵政の職員の間でもクラスターが確認されました。

 台湾政府は、全国の警戒レベルを最高4のうち3に引き上げて警戒しています。全国の学校は5月28日までオンラインに切り替ました。学校や休んでも学びは休まないとして、急遽各児童にタブレットを配布。

 飲食店だけでなくコンビニなどお店に入るときは、お店に貼ってあるQRコードをスマホで読み取って、来店情報を入力してから入店する方法を採用するなど、いろいろな方法を模索しています。

 それでも、急激な感染者の増加に国民は混乱しています。政府がどんなに会見を開いても、蔡英文総統が感染者療養施設を視察しても、今はまだ混乱状態のようです。日本でもありましたが、マスクをしないで大声で喚き散らす人がいたり、スーパーに買い占めに走ったり。

 コロナ優等生の台湾とシンガポールで感染者が増加していることから、コロナパンデミックが新たな展開を見せているという報道も見かけます。WHOも第二派は第一波とは違う動きを見せると言っています。以下、報道を一部引用しましょう。

<世界保健機関(WHO)で緊急事態対応部門を統括するマイケル・ライアン氏は25日、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置を性急に解除すれば、ウイルス感染例が減少しつつある国が直ちに感染の「第2波」に見舞われる恐れがあると警鐘を鳴らした。

 ライアン氏は、多くの国で感染例が減少する半面、中南米や南アジア、アフリカでは増加傾向にあるとし、世界はまだ新型コロナ感染の第1波に対応している状況と述べた。

 感染の第2波とは通常、第1波が過ぎ去ってから数カ月後に発生するケースを指すとしつつも、「感染が急に広がる可能性はあり、現在減少しているからといって、第2波に備えるために何カ月もの時間があると想定することはできない。第1波中に第2波が訪れる可能性もある」と警告した。>

 確かに、欧米ではワクチンが行き渡ったこともあり、感染者は減少し、マスク解禁になっている地域もあります。

◆ゴムボート密航の次はワクチン提供・・・中国のシナリオ?

 一方で、「中国からゴムボートで台湾に密航 相次ぐ 中国人の身柄確保」というニュースが5月6日に報道されました。この報道は、5月4日に金門島に不法に上陸した中国人の男の身柄を確保したとあります。

 さらに、男が乗っていたゴムボートにはエンジンはついていたものの、燃料の量から判断すると、福建省から直接来た可能性は低い、とも報道されています。

 つまり、台湾近くまで違う船で来て、金門島付近でゴムボートに乗り換えて台湾上陸を狙ったということでしょう。

 男の身柄が確保されたのは、たまたま住民が通報したからであり、他にも不法に上陸した人物がいるかもしれません。

 その後、台湾でコロナが拡大すると、中国政府は台湾にワクチンを提供したいと表明しました。以下、報道を一部引用します。

<中国で対台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室の朱鳳蓮(しゅ・ほうれん)報道官が同日、新型コロナウイルスの感染が急拡大している台湾に対し、『最大限の努力を尽くして、台湾の同胞ができるだけ早くコロナ禍に打ち勝つよう援助したい』と表明したと伝えた。

 朱氏は、中国製ワクチンについて「広範な台湾の同胞が使用を切望している」と強調。台湾側にワクチンを提供する用意があるとの構えを見せた。

 一方で「当面の急務は、人為的な政治的障害を排除することだ」とも主張した。中国が「台湾独立」派とみなす民主進歩党の蔡英文政権に対し、歩み寄りの姿勢を見せなければワクチン支援を行わないと迫った形だ。突然の感染拡大に台湾で衝撃が広がる中、蔡政権に揺さぶりをかける狙いがあるとみられる。>

 もちろん台湾側は、「偽の善意を示す必要はない」「中国大陸が邪魔さえしなければ『われわれは信頼性がより高いワクチンをより早く国際社会から入手できる』との立場も示した」として、中国からの提供を受けるつもりは全くありません。

 不審者が金門島に現れた、コロナが急拡大した、中国政府がワクチンを切り札に蔡英文政権に揺さぶりをかける、何かひとつのシナリオに見えるのは私だけでしょうか。もちろん、台湾の報道でもコロナ急拡大の原因は国際線パイロットと言っています。

 しかし、どんな卑怯な手段も厭わない中国政府です。実際、中国産ワクチンをエサにアフリカ諸国を翻弄しています。あまりにタイミングがいいので、つい穿った見方をしてしまいます。

◆感染拡大の原因は中華航空のパイロット

 それに、感染拡大の原因となったのが国際線パイロットだという説に私は異論はありません。なぜなら、それは中華航空のパイロットだからです。報道によれば、感染源はパイロットだけでなく、中華航空関係者の多くが滞在していた空港ホテルで感染が拡大しました。この時の感染者は35人確認されています。

 中華航空と言えば、蔡英文政権が指一本も介入できない中国空軍の国民党出身者集団です。その存在は、台湾の治外法権のようなものです。

 台湾は、中国の内ゲバの犠牲となり、民主、自由を目指す人類のユートピアと全体主義との対立の最前線に立つ運命なのです。しかし、武漢発のパンデミックが、世界に大きすぎる影響を与えたことで、中国の正体を世界に鮮明に知らしめることになりました。そして、世界のパラダイム転換の一大ターニングポイントとなります。

 台湾が、日米安保の共同声明に盛り込まれ、G7外相会議でも日本の集団安保のひとつとして提起されたのも、その成果です。また、WHOにオブザーバーとして台湾の参加を求める声が上がっているのも、その成果のひとつです。

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