【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2021年5月12日】*原題は「新型コロナは中国のバイオ兵器だった疑いが急拡大、ブラジル大統領も中国関与を示唆」ですが、掲載に 当たって「新型コロナは中国のバイオ兵器だった!?」と改題したことをお断りします。*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部が付したことをお断りします。
◆中国軍事科学者たちが2015年にウイルス武器化警告の報告書を作成
オーストラリアの新聞「ジ・オーストラリアン」は、5月8日付のトップ記事で、2015年に中国の軍事科学者たちがSARSコロナウイルスによるバイオ武器化について言及した報告書を作成していたことを報じました。
この報告書は、中国人民解放軍の科学者や衛生当局者が2015年に作成したもので、アメリカ国務省が新型コロナウイルスの発生源を調査する過程で入手したものだとしています。
この報告書は「SARSの非自然的起源と遺伝子バイオ武器としての人造ウイルスの新しい種」と題され、263ページにわたり、SARSコロナウイルスがテロリストによる人工操作で中国に散布された遺伝子武器だということや、中国におけるバイオ武器研究の成果を概括しているそうです。
そして報告書では、元アメリカ空軍大佐の言葉を引用し、「第1次世界大戦が化学戦、第2次大戦が核戦争なら、第3次世界大戦は明らかにバイオ戦争」としながら「第3次大戦で勝利を収める核心武器はバイオ武器になる」と付け加えているそうです。
つまり、コロナウイルスをつかった第3次世界大戦の準備をしていたことを伺わせる報告書だということです。
この報道は、イギリスなどのヨーロッパや、新型コロナウイルスの被害が急拡大しているインドなどでも大きく報じられました。
この報道が出ると、環球時報の胡錫進編集長は即日でツイッターに英語で「米国はいつも汚らしいデマをオーストラリア人の口に入れる。オーストラリアメディアはそれを喜んで味わう」と批判、また、11日には中国外務省が報道を否定しました。
◆ブラジル大統領がパンデミックは中国によって仕掛けられた「新たな戦争」と批判
この報告書が示唆しているような、中国がバイオ兵器として新型コロナウイルスを開発したかどうかの真偽は不明です。しかし、非常にありそうな話です。そもそも新型コロナウイルスが2019年末に発生したときに事実を隠蔽し、感染症の広がりに警告を発した医師らに対して拘束や恫喝を行っていましたから、かなり怪しいといえるでしょう。そう思われても仕方がないのは、中国が一党独裁で情報統制をしている国だからです。
しかも、これまで人民解放軍はしきりに、中国のBC兵器は世界の最先端を独創していると自画自賛し、たとえば国防大臣を務めた遅浩田などは、アメリカに対しては最近生物兵器の攻撃が最有効と語っていました。
ところが、新型コロナのパンデミック後は、こうした自画自賛の声が聞かれなくなってしまったのです。
そして、世界各国でも、新型コロナウイルスについて、中国が意図的に感染拡大させたのではないかという疑う姿勢が強くなりつつあります。
たとえば中国が最大の貿易相手国であるブラジルでは、5月5日、ボルソナロ大統領が、新型コロナウイルスのパンデミックは、中国によって仕掛けられた「新たな戦争」だと語りました。
報道によれば、ボルソナロ大統領は大統領府での演説で、ウイルスが中国で人為的に生み出された可能性を示し、「新型コロナウイルスで、どの国がGDPを最も伸ばしているか」と述べて、暗に中国による「新たな戦争」を批判したのです。
ブラジルは中国ワクチンに頼っていますが、それでも大統領がこのような発言をする背景には、中国製のワクチンの有効性が低いこともあるでしょう。ブラジルでの治験では、中国製ワクチンの有効性は50%しかありませんでした。
先日、ブラジルでは経済大臣が「中国のワクチンはアメリカ製より劣る」と、閣僚会合でうっかり発言してしまったことが問題になりました。
◆次に起こるのは中国に対する世界的な批判
それはともかく、中国が新型コロナウイルスを兵器として開発し、世界に拡散したという認識は、今後、ますます世界に広がっていくと思われます。先進国ではワクチン接種が進み、だいぶ感染がおさまりつつある国もあります。そうなれば、次には中国の責任を問う声が高まってくるでしょう。
ちょうど1年ほど前のこのメルマガで、中国に対して世界各国から5500兆円の賠償要求がある可能性について述べました。
その後、世界的なパンデミックが深刻化したことで、賠償要求についての話は鳴りを潜めていましたが、ここにきて再び賠償問題が持ちあがる可能性があります。
そればかりか、ただでさえ中国のウイルス発生初期の隠蔽に対して世界各国が批判しているなか、これが軍事目的に作られたウイルスであったり、さらには意図的に拡散させたということになれば、制裁や戦争理由にもなります。
それ以外にも、ウイグルの人権問題もあり、中国に対する世界的な批判は収まりそうもないどころか、これから本格化していくと思われます。
日本でも、中国資本と関係した楽天が日米政府の共同監視の対象となるなど、中国に対する締め付けが強化されつつあります。とくに日本のオリンピック後、それはワクチンで感染が下火になるころとも重なるかもしれませんが、日本国内でも中国批判が高まってくると思われます。
7月には中国共産党の設立100周年を迎え、中国では何らかの行事が行われると思われますが、軍事パレードは行わないようです。各国が中国への批判や、ウイグル問題での制裁を加速させているため、あまり中国脅威論を煽りたくないということのようです。
とはいえ、中国共産党は新型コロナが中国発であることを否定しながら、「感染の抑え込みに成功した」といった自画自賛は大々的にやるでしょう。これに対して各国から反発の声が強まるはずです。
このように、2021年の後半からは世界的な中国批判が高まるのは必至で、そのなかで来年2月には北京オリンピックが開催されるわけです。欧米側のオリンピックボイコットを含めて、中国と国際社会の関係がかなり緊迫することは間違いありません。
※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。