和田有一朗議員への政府答弁で明らかになった台湾・中国関係の実態

和田有一朗議員への政府答弁で明らかになった台湾・中国関係の実態

 本誌では、和田有一朗(わだ・ゆういちろう)衆議院議員が所属する外務委員会において、台湾に関する質疑を次々と繰り出していることに注目し、インターネット中継のURLや国会の速記録から質疑応答を紹介しています。

 5月11日の外務委員会は「刑事に関する共助に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件」や「制労働の廃止に関する条約(第百五号)の締結について承認を求めるの件」「2012年のケープタウン協定の締結について承認を求めるの件」などがテーマで、和田議員もケープタウン協定やベトナムとの刑事共助について質疑し、その関連で台湾との司法協力について質疑しています。

 すでに3月30日の外務委員会で台湾と捜査協力が行えるのかについて質疑していた和田議員ですが、改めて台湾との捜査協力について、香港という「地域」とは捜査協力できる条約を締結しているにもかかわらず、なぜ同じ「地域」の台湾とは条約を結べないのかについて質疑しました。

 この質疑についての政府答弁は小田原・外務副大臣でしたが、香港との条約締結の背景を説明するにあたって、香港と中国の関係、台湾と中国の関係の実態がはからずも露呈することになってしまいました。

 奇しくも、和田議員が質疑した日と同じ5月11日、中国国務院台湾事務弁公室の報道官は定例記者会見で、謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表が「米国は台湾が中国に属すると認めたことはない」と述べたことをめぐる質問に対して「台湾の地位は非常に明確で、中国領土の不可分の一部だ。歴史と法理的事実がこの点を十分証明している」と述べたばかり。

 しかし、これは中国が主張している政治宣伝に過ぎないことが外務省の答弁によって明らかになってしまいました。まさに瓢箪から駒とでもいうべき答弁で、中国がどう主張しようと、日本が台湾と捜査協力の条約を結べないのは、台湾が中国の不可分の一部ではないことが原因だったのです。

 中華人民共和国はこれまで一度も台湾を統治したことはなく、当たり前といえば当たり前のことですが、日本が台湾と捜査協力の条約を結べないのはそれが原因だったというのは意外と新鮮な驚きかもしれません。

 下記に「外務委員会議事速報」から該当する質疑応答をご紹介します。また、当日のインターネット中継のURLもご紹介します。

◆和田有一朗・衆議院議員の外務委員会質疑(2022年5月11日 10時49分〜11時25分 36分) https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=53975&media_type=

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衆議院外務委員会:2022年5月11日(水)10時49分〜11時25分

○城内委員長 次に、和田有一朗君。

 (中略)

○和田(有)委員 二つの大きな点があって、より充実したものになるんだ、こういうことなんですが、私、以前、台湾と司法共助はできないのかということを、実はこの外務委員会で、何回か前にお聞きしたんです。そうしたら、これが出てきまして、このことを前に聞いたときに、ICPOルート等を使ってできるだけやっているんです、できるんですというような御答弁だった。台湾とは条約は結べない、しかし、ICPOルート等を用いて、そういうやり取りをするんだと。

 そのとき、私が、ICPOに台湾は加盟していない、じゃ、どうやってするんですか、こう聞いたら、今日はそのことが分かる者が陪席しておりませんので答えられませんと終わっちゃったんです。

 じゃ、またやりましょうということだったので、今日、たまたまこういうのが出てきたのでお聞きしたいんですが、じゃ、そのとき、ICPOには未加入であるという中で、台湾とICPOルート等を使って共助をやるんですと言ったんですが、これは一体どういうことなんでしょうか。

○渡邊(国)政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましては、ただいま委員から御指摘がございましたように、台湾との捜査協力を行う必要がある場合には、ICPOルートにより、台湾当局との間で情報や資料の交換を行っているところであります。

 これにつきましては、ICPO事務総局が加盟国と台湾との間で連絡を仲介しておりますことから、我が国といたしましても、他の加盟国と同様、ICPO事務総局を通じて、台湾との間で必要な捜査協力を実施しているところでございます。

○和田(有)委員 事務総局を通して、加盟国ではないけれどもやり取りするんだというのですが、それではやはり、今、犯罪が非常に複雑化して国際化している中では、私は不十分だと思うんです。

 実際にいろんな現場の話を聞いても、実は、日本で本来捜査を進めていって、最後に親分を捕まえたいのになかなか捕まえられないとか、そういう情報が行き来、うまくいかないとかそういうのがある、そういうふうに、相手国でもあるというふうに聞きます。

 調べてみると、これは初め、前回のときの質疑のときも、これは国として外交関係がないから条約が作れないんですというような、結局、答弁の言いぶりだったんですね。そういう表現ではありませんけれども、そういう言いぶりなんです。

 なおかつ、加えて、そのときに、国と国との条約ですからという表現を言われていて、よく今回見てみると、香港とこういった共助の条約は結んでいるんです。国ではなく、国と地域。ですから、いろんなところで、外務省のホームページを見たって、台湾は国と地域の中でちゃんと出ている、地域として。

 では、香港と条約は結べるのに、どうして台湾とは結べないんでしょうか、教えてください。

○小田原副大臣 和田委員にお答え申し上げます。

 香港は、中国の一国二制度の下で、香港特別行政区基本法に基づいて、中国政府から刑事共助協定の締結権が付与されています。平成二十年の五月に我が国との間で刑事に関する共助に関する日本国と中華人民共和国香港特別行政区との間の協定が締結されています。

 台湾については、我が国の法令上、香港のように、外国政府による刑事共助協定の締結権が付与されているような場合以外には、外交関係を持たない地域との間で捜査協力等を行うことは困難であります。しかしながら、台湾との各種の実務的な協力について、引き続き、我が国の法令の範囲内で適切に対応していく考えであります。

○和田(有)委員 私、今、大変、今日の質問ではないところで気づきをいただきました。

 一国二制度の中で、中華人民共和国は香港に対してその権限を付与している。しかし、台湾には付与されていない。一国二制度の中にもなければ、中華人民共和国の中にもないということです、これは。これ以上、私、今日は聞きませんよ。本当は聞く質問を作りかけていたんです。

 大臣、アメリカ合衆国は既にそういう表現をやめたんです、実を言うと。今度、次の機会にお聞きしようと思いますが、今日、私、目が覚めてしまいました、ここで。一国二制度として、北京政府は香港には付与している、台湾には付与していない。こういう前提で私たちは向き合うべきではないかなと思いますが、このことはこれ以上聞きません、私。

 次に行きますね。分かりました。でも、これは台湾とはしっかりとやるべきだと私は思います。(後略)

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