台湾与党の民進党主席に頼清徳氏を選出 多難の船出

台湾与党の民進党主席に頼清徳氏を選出 多難の船出

 1月15日に台湾与党、民主進歩党(民進党)の主席選挙が行われ、立候補者は頼清徳氏一人だったことから、投票率は17.6%と低調ながら得票率は99.7%で、いわば信任投票となった。

 それにしても、1月18日に就任する頼清徳・新主席の前には党勢回復などいくつもの壁が立ちはだかっている。

 若者や中間層の支持離れにより民進党の支持率は下がり、すでに野党第一党の中国国民党が上回っている。

 台湾民意基金会が昨年12月20日に発表した「2022選後台湾政局と両岸関係」という世論調査では「台湾人の政党支持傾向」についても発表しており、それによれば、昨年10月に行った世論調査との支持率比較では、民進党が10月の33.5%から24.7%と8.8ポイントも下げ、中国国民党は逆に18.6%から25.1%から6.5ポイント上げ、逆転している。野党をみると、民進党に近いとされる台湾基進は2.6%から2.5%に下げたが、台湾民衆党も15.8%から17.7%、時代力量も3.3%から4.5%に上げている。

 政党ばかりか、総統候補者としての個人支持率でも、民進党公認候補との呼び声が高い頼清徳氏は中国国民党の侯友宜・新北市長を下回っている。

 下記の読売新聞の記事が伝えているように、台湾民意基金会のこの世論調査では「次期総統に頼氏を望んだ人は29%にとどまり、国民党の侯友宜・新北市長の38.7%を下回」るという結果になっている。台湾民衆党の柯文哲主席が3番手の17.8%で続くが、国民党の総統候補者と目されている侯友宜氏との約10ポイントの差はけっして小さくない。国民党は朱立倫主席も総統候補者の一人だが、民進党にとっては侯友宜氏の方が戦いにくくなることは明らかだ。

 この他、日本メディアも台湾メディアも、2024年1月に予定されている総統選挙と関連づけ、「民進党の党勢をいかに立て直すか」(産経新聞)、「党勢立て直しと中間層の支持引き込みに手腕が問われる」(共同通信)、「総統選に向けた党勢の立て直しが急務」(時事通信)、「台湾内外の支持を得られるかが課題」(朝日新聞)、「不満の源である低賃金、少子化などの対策や、党を団結に導けるかが課題」(読売新聞)、「いかに政権維持につなげるか。党内でいかにバランスを取り、蔡氏と協力して団結を図っていくかが注目される」(中央通信社)と、一様に「党勢回復」と「党内結束」が課題だと指摘し、多難の船出であり、総統選は楽観できないというトーンで一致している。

 やはり、キーポイントは、党内政治にあまり未練を残しそうにはない蔡英文総統と、派閥を横断した協力態勢をいかに作り上げられるかにあるのではないかと思われる。陳建仁・元副総統の名前も挙がる蘇貞昌・行政院長の後任行政院長人事にも注目しながら、新主席としての頼清徳氏の動静を注視してゆきたい。

—————————————————————————————–台湾与党の新主席に頼清徳氏…1年後に総統選、世論の支持29%から伸ばせるか【読売新聞:2023年1月15日】https://www.yomiuri.co.jp/world/20230115-OYT1T50140/

【台北=鈴木隆弘】台湾の与党・民進党は15日、主席(党首)選挙を行い、唯一立候補を届け出ていた頼清徳副総統(63)が、新主席に選出された。

 1年後の次期総統選でも党の有力候補と目されるが、世論調査では支持は伸びておらず、政権維持に向けて危機感を強めている。

 主席選は、昨年11月の統一地方選で最大野党・国民党に大敗し、蔡英文総統が党主席を引責辞任したことを受け、実施された。頼氏は選出後、「党が信頼を取り戻す始まりだ。台湾を守り、民主主義、平和、繁栄を促進する」とSNSで決意を示した。投票率は17.59%、得票率は99.65%だった。任期は蔡氏が総統を退く2024年5月までとなる。

 医師出身の頼氏は、台南市長や行政院長(首相)などを歴任した実力派だ。蔡氏は次期総統選を巡り、昨年末の記者会見で、後継候補として頼氏を挙げた。党内では「頼氏のほかに適任者はいない」との声が強まり、総統選の党公認候補となる公算が大きい。

 しかし、統一地方選の大敗が尾を引き、総統選に勝てるかどうかは楽観できない。台湾民意基金会が昨年12月に行った世論調査で、次期総統に頼氏を望んだ人は29%にとどまり、国民党の侯友宜・新北市長の38.7%を下回った。政党支持率も民進党と国民党がほぼ並んだ。国民党の公認候補選びの結果によっては、激しい選挙戦になる可能性がある。

 民進党が統一地方選で敗れた背景には、若者や中間層の支持離れがあった。頼氏は7日の若手党員との対話で、「若者の選択を誠実に受け止め、改革の契機としたい」と述べた。不満の源である低賃金、少子化などの対策や、党を団結に導けるかが課題となる。焦点の対中関係では、現状維持の蔡氏の路線を引き継ぎ、支持を集めたい考えだ。

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