『新脱亜論』で訴えたかったこと[拓殖大学学長・渡辺 利夫]

『新脱亜論』で訴えたかったこと[拓殖大学学長・渡辺 利夫]
【10月6日 産経新聞「正論」】

■歴史はすべて現代である

 日本の近現代史に関する資料は、現在では歴史学者の専有物ではない。書店にいけば
各社から発行されている歴史資料集がいくつも手に入る。歴史事典・辞書、人名辞典、
年表なども随分充実している。大手の新聞であれば創刊号から現在までの記事をDVD
で読むこともできる。

 日本の歴史、特に開国維新に始まり第二次大戦敗北にいたる近現代史については、こ
れを十分に理解しておかなければ現代そのものがわからないという思いはかねて強く、
時間をみつけては文献を漁(あさ)っていた。しかし購入した研究書のほとんどは、い
まなお自虐史観というのか東京裁判史観というのか、そういう立場から書かれたものが
ほとんどである。冷戦崩壊から十数年、日本の国際環境はまったく変わってしまったの
に、そんなことはまるでなかったかのような装いなのである。「歴史はすべて現代であ
る」。歴史は今という時点に立ち過去を振り返って今をよりよく生きる指針を得るため
の知的営為である。歴史学を学ぶものの問題意識はつねに現代でなければならない。不
変の歴史などあるはずもない。そう考えて専門家ならぬ私も、既存の日本近現代史の
「権威」の著作から身を離して、みずから原資料を読み込み日本の近現代史を「再編集」
してみようと思いを定めて『新脱亜論』(文春新書)を上梓(じょうし)した。本書に
寄せた私の思いをまとめれば次の3つくらいになる。

■日清・日露戦前夜に酷似

 1つは、現在の日本を取り巻く極東アジアの地政学的状況が、開国維新から日清・日
露戦役開戦前夜のそれと酷似しているという観点である。中国はもとより韓国、北朝鮮、
そしてロシアまでが日本に挑戦的外交をもってのぞんでいる。中国、韓国の反日政策は
もはや「構造化」されてしまったかにみえる。中国は核ミサイルの照準を日本に向けて
いる。北朝鮮はミサイルを完成し、これに搭載可能な核弾頭の開発に躍起である。照準
は日本である。拉致被害者の数は数百人に上る可能性がある。日本は竹島の不法実効支
配という屈辱を韓国から与えられている。

 にもかかわらず、日本政府は集団的自衛権行使についての旧来の解釈を変えようとい
う気概がない。インド洋での給油支援活動の継続すらあやしい。PKO(国連平和維持
活動)においてはG8(主要先進8カ国)だけでなく中国、韓国の後塵(こうじん)を
も拝している。現在の日本人の安全保障認識は、この厄介な国際環境に取り囲まれなが
ら、いかにも安穏なのである。ならば、開国維新から日清・日露戦役開戦前夜において
日本の政治指導者やオピニオンリーダーが当時の緊迫の国際環境をいかに認識し、この
認識に立っていかに行動したのかを記して、これを目下の日本の外交のありように対す
るアンチテーゼとして突き付けてみたいと考えたのである。

■友邦とすべき相手を選ぶ

 2つめは、こうである。往時においても現在においても日本が独力で自国の安全保障
をまっとうすることはできない。とすれば、日本はどういう国と手を組んだ時に成功し、
どういう国に関与した時に失敗したのかを近現代史の経験の中から学んでおかなければ
ならない。日本は誰を友としていた時に平穏を保ち、誰と付き合った時に辛酸を嘗(な)
めさせられたか。

 事実を顧みれば、わが国は日英同盟や日米同盟、つまり英国や米国などアングロサク
ソンの海洋覇権国家と結んでいた時代に幸福を手にし、中国やロシアといった大陸国家
への関与を深めた時が不幸な時代であった。どうしてそうなったか。そこが理解できれ
ば、日本の将来の安全保障の方向性に大きな示唆を得ることができるのではないか。

 3つめは、「ヒストリカルイフ」つまり歴史的な「もしも」にかかわる。日本が日清
・日露戦役に敗北していたらという「イフ」である。仮に日本がいずれかに敗れていた
ならばまずは清国、次いでロシアの「属邦」に陥っていた蓋然(がいぜん)性はきわめ
て高い。

 現在の中国は南シナ海の制海権を握り、東シナ海の内海化を目論(もくろ)んでいる。
これに成功するならば、そして日本が集団的自衛権行使に踏み切れないのであれば、尖
閣諸島はもとより、台湾の保全も危うくなり、日本を含む極東の全体が中国の事実上の
支配下となる危険に晒(さら)されよう。

 国力と軍事力において圧倒的に劣勢であった日清・日露戦役時の日本が、それにもか
かわらず勝利したのは何ゆえか。指導者の徹底的に怜悧(れいり)な状況認識と果敢な
戦略にあったとみて間違いない。明治のリーダー達の戦略に学び、これを現代に生かす
道を探るという知的営為がいまほど必要な時期もあるまい。
                             (わたなべ としお)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――3>> 11月30日(日)、台湾の民主化後退を憂慮する市民集会
  新たな2・28事件を生まないために!!

 台湾では今春、国民党政権が復活し、馬英九氏が総統に就任して以来、言論機関への
検閲の復活やデモ集会法の制定など様々なところで民主的な権利を制限する動きが目に
つくようになっていました。

 特に11月3日、中国から海峡両岸関係協会会長の陳雲林氏が来台した時に引き起こさ
れた一連の出来事は驚きと怒りを感じざるを得ないものでした。警備当局の度を越した、
過剰な検問や捜査、抗議する市民への暴力的対応など過剰警備は目に余るものがありま
した。

 日本では前総統の陳水扁氏の官房機密費流用疑惑による逮捕のニュースばかりが取り
上げられ、単なる権力闘争のように矮小化されて伝えられ事件の本質が見えなくなって
いますが,他にも馬英九氏に批判的な嘉義県長の陳明文氏(10月28日)、雲林県長の蘇
治芬女史(11月4日)などが汚職の罪状で逮捕されているのです。嫌疑の中身は何も示
されておらず、これらは偶然この時期におきたこととはいえないでしょう。

 このような戒厳令下への逆戻りとも言える馬英九政権の強行策に対して台湾各地の学
生を中心に抗議行動は広がっており、1.馬総統と劉行政院長の公式謝罪、2.王卓均
警政署長、蔡朝明国家安全局長の解職、3.違憲のデモ・集会法を直ちに改正せよ、等
の要求を掲げ各地で座り込みなどの行動を続けています。

 馬英九政権が民衆の声に耳を傾けず、力による強行策をエスカレートし続けるなら国
論は二分し厳しい対立が広がり、抜き差しならぬ事態を招くことになりはしないかと危
惧されるところです。ジャーナリストのデニス氏が来日するこの機会に最も新しい台湾
での動きを聞き、民主、人権を擁護する立場から、何らかの声を上げていく為の市民集
会を開催します。より多くの心ある市民の参加を呼びかけます。

■日 時 2008年11月30日(日)13時30分〜15時30分

■場 所 早稲田奉仕園 日本キリスト教会館6F フオークトルーム
     東京都新宿区西早稲田2−3−1 !):03−3205−5413
     地下鉄東西線 早稲田駅下車
     詳しくはhttp://www.hoshien.or.jpでお調べください

■会場費 600円

■プログラム 1.台湾の民主化後退を憂慮する会設立報告
       2.講演「台湾の最新の状況について」
         デニス・エネバース氏(台湾ニュース記者)
       3.声明文決議
       4.行動アピール

■問合先 090−9685−2379(手塚)
     090−3819−4799(可児)

■主 催 台湾の民主化後退を憂慮する会準備会
     東京都練馬区東大泉5−10−16手塚方


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