――たしかに「即ち支那國は滅びても支那人は滅びぬ」に違いない

――たしかに「即ち支那國は滅びても支那人は滅びぬ」に違いない
【知道中国 1692回】                       一八・一・念二

――たしかに「即ち支那國は滅びても支那人は滅びぬ」に違いない

 文久2(1862)年に千歳丸に乗り込んだ高杉晋作ら幕末の若者たちが上海の街を「徘徊」してから半世紀(たったの半世紀!?)が過ぎた頃、「支那は民國元年となり、同時に日本亦大正元年となつた」(北一輝『支那革命外史』みすず書房 昭和34年)。そこで【知道中国】も明治期を終わり大正期に入ることにしたい。

 さて、どこまで続くのか。先の全く見えない前途遙遠な作業ながら、今後ともご笑覧のほどを宜しく願います。

 以下、これまで読んだ千歳丸以降の紀行の書名を書き留めておきたい。なお「 」内はそれぞれの著者の思いを表せばこんな言葉になろうかと、書中から拾ってみたもの。改めて読み返して感じたことは、峯潔から中野狐山までの多くの先人の飽くなき好奇心、旺盛な探求心、知的誠実さ、同じ目線で異土の草民を捉えようとする生真面目さ、加えるに強靭な精神と些かの遊び心――彼らの残した知的財産を如何に受け継ぎ、咀嚼し、今後の中国・中国人認識に生かすべきか。問題山積ではあるが、大正期を読み進みながら考えたい。

1)「日本人始メテ上海ニ遊来也」:峯潔「航海日録」

2)「入唐シ玉フハ室町氏以来希有ノヿ・・・豈一大愉快ナラスヤ」:名倉予何人「海外日録」

3)「塵糞堆ク足ヲ踏ムニ處ナシ」:納富介次郎「上海雑記 草稿」

4)「我國萬世一統。所以冠萬國也」:日比野輝寛「贅肬録」「没鼻筆語」

5)「支那之衰微、押て可知候也」:中牟田倉之助「上海行日記」

6)「海外に知己を得るは、殆ど夢の如し」:高杉晋作「遊淸五錄」

7)「東洲ヲ振ハシ西洲ヲ壓スルノ急務ヲ策スヘシ」:曾根俊虎『北支那紀行』

8)「民口無慮四億萬其食鴉片者居十之一」:竹添進一郎『棧雲峽雨日記』

9)「最モ困却セシ者ハ便所ニテアリシ」:曾根俊虎『清國漫遊誌』

10)「糞穢壘々トシテ大道ニ狼藉タリ」:小室信介『第一遊清記』

11)「清人の己が過を文飾するに巧みなる、實に驚く可き也」:尾崎行雄『遊清記』

12)「市店雜踏、穢臭衝鼻、覺頭痛涔涔」:岡千仞『觀光紀游』

13)「街路湫隘ニシテ塵穢坌集到ル處皆然ラサルハナシ」:黑田清隆『漫游見聞録』

14)「支那人は自國を賛譽し誇稱して、外人を貶す」:安東不二雄『支那漫遊實記』

15)「佛具散亂蛛網充滿寺僧洋烟に沈醉して佛道影なし」:原田藤一郎『亜細亜大陸旅行日誌幷清韓露三國評論』

16)「支那種族ノ勢力ハ将來實ニ恐ルヘキ者アルヲ信スルナリ」:高橋謙『支那時事』

17)「土民生計ノ貧窶想見スルヘシ」:大鳥圭介『長城游記』

18)「今や紀綱衰頽し萬國の嘲侮する所たり」:宮内猪三郎『改正清國事情探檢錄』

19)「生蕃ノ支那人ヲ見ルコト仇讐モ啻ナラス」:長谷川鏡次『台灣視察報告書』

20)「南洋道とか何とか立派なる・・・美名に變ずることを」:中橋徳五郎『台灣視察談』

21)「頑迷固陋倨傲自尊・・・耻ナキモノハ利ヲ嗜ミテ」:西島良爾『實歷清國一斑』

22)「支那人は少しの事でも抜目なく・・・」:中村作次郎『支那漫遊談』

23)「汚吏夤縁して奸を行ひ、遂に失敗に歸せり」:内藤虎次郎『支那漫遊 燕山楚水』

24)「其民は頑冥不靈を以て世界到る處に拒絶せられんとす」:大谷派參議部『清國巡遊誌』

25)「賭博思想ハ支那人ノ天性ナルカ如シ」:村木正憲『清韓紀行』

26)「一言ノ口約束能ク一萬兩ノ取引ヲ結了スル・・・」:木村粂市『北清見聞録』

27)「支那ハ困リタ國デス何處マデモ亡國ノ兆ヲ帶ビテ居マス」:戸水覚人『東亞旅行談』

28)「衰亡國民ノ意節ナキニモ浩歎セサルヲ得サリキ」:植村雄太郎『滿洲旅行日記』

29)「彼等の體力は實に野生である、獸性である」:高瀬敏德『北清見聞録』

30)「湖南省を目して小日本・・・自ら稱して小日本人といふ」:安井正太郎『湖南』

31)「正邪の標準なくして、利害の打算あり」:德富猪一郎『七十八日遊記』

32)「実に多くの点において物を糊塗することの巧みなる」:宇野哲人『支那文明記』

33)「支那の官吏は賄賂を取る、金なくば訴訟するな」:廣島高等師範學校『滿韓修學旅行記念録』

34)「我邦人所占居。旭旗相映以祝秋皇靈祭。亦足以觀我國之光矣」:股野琢『葦杭游記』

35)「獨乙・・・將來・・・無限の勢力を大陸に敷けるもの・・・」:山川早水『巴蜀』

36)「此行各地官商熱誠優待來接者不知其數・・・」:永井久一郎『觀光私記』

37)「濫りに東方策士を以て自任す。此徒の心事最爲可憫」:阿川太良『支那實見録』

38)「独逸の活動心憎きまで潑溂たるものあるを感じた」:米内山庸夫『雲南四川踏査記』

39)「支那の國はまだ夢を見て居る」:小林愛雄『支那印象記』 

40)「即ち支那國は滅びても支那人は滅びぬ」:佐藤善治郎『南清紀行』

41)「支那は上海の大なるものとなるべき運命を荷ひつヽ」:前田利定『支那遊記』

42)「早合點の上、武勇を弄ぶは、先ず先ず禁物とせねばならぬ」:川田鐵彌『支那風韻記』

43)「全く支那人程油斷のならぬ者はない」:中野狐山『支那大陸横斷遊蜀雜俎』

                                      以上

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