テドロスWHO事務局長に自民党からも「解任に値する」と非難

 WHOのテドロス事務局長への批判が世界中で渦巻いている。今年1月末に米国の署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ(Change.org)」で開始されたテドロス氏の事務局長の辞任求める署名は、4月24日に100万人を突破した。

 その先頭に立つのが米国のトランプ大統領であり、ポンペオ国務長官だ。テドロス氏は1月30日に開いた会見で中国の対応を称賛し、米国が1月末に決めた中国からの入国禁止について反対したが、間もなく感染は世界中に広がる結果になったのだから、それも理のあるところだ。

 台湾はさらにテドロス氏への不信感は深い。

 昨年12月31日、中国で隔離された人がいるという情報を基にWHOに「人から人への感染」を警告したにもかかわらず無視され、その挙句に「3カ月以上にわたり脅迫や人種差別攻撃を受けており、攻撃は台湾から来ている」と4月8日の記者会見で公表し、台湾をレイシスト(人種差別主義者)呼ばわりしたのだ。

 その上、4月20日の記者会見では「台湾から昨年末に電子メールを受け取ったが『これは最初の通報ではなく、すでに多くの国から連絡があった』と説明。さらに『台湾は状況の解明を求めてきただけで、人から人への感染の報告はなかった』とも語り、対応に問題はなかったと強調した」(4月21日「時事通信」)と、台湾側の「人から人への感染」警告は最初ではなかったと相対化をはかる発言をしている。

 しかし、語るに落ちるとはこのことだろう。台湾からは「最初の通報ではなく、すでに多くの国から(人から人への感染報告)連絡があった」というなら、多くの国からの連絡に、なぜ対応しなかったのだ。WHOはなにも対応しなかった。つまり、多くの国から、対応しなければならない「人から人への感染」についての報告は来ていなかった。WHOに加盟していない台湾からだけだった。だから、無視したというのが事実だろう。

 WHOが専門家を中国に派遣したのはようやく1月20日のことだ、それでも23日には緊急事態宣言を出さず、宣言は30日にずれ込んだ。

 これでは、テドロス氏への台湾の不信感は深まりこそすれ、払拭されることはない。

 本日の産経新聞朝刊は、「世界保険機関(WHO)の分担金と拠出金の合計上位10カ国」という表を添え、日本の自民党内にもテドロス事務局長の「発言は不適切であり、解任に値する」という声が出て来ていることを伝えている。

 分担金と拠出金の表をみれば、テドロス氏を批判し、WHO改革を訴えるトランプ大統領やポンペオ国務長官の怒りも腑に落ちるような気がする。

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◆世界保険機関(WHO)の分担金と拠出金の合計上位10カ国(2018年、米ドル)

1 米 国     3億9951万90292 英 国     2億2661万59163 ドイツ     1億8510万64194 日 本     1億3282万95065 クウェート   6186万35406 スウェーデン  5376万88787 オーストラリア 4630万66708 ノルウェー   4567万81239 中 国     4421万293210 カナダ     4361万9518

—————————————————————————————–WHO事務局長に自民党内から批判 露骨な中国擁護に「解任に値する」 不公平な拠出金、改革求める声【産経新聞:2020年4月25日】

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長への批判が高まっている。ウイルス発生源である中国寄りの発言が目立つためだ。トランプ米大統領がWHOに任意で払う拠出金の停止を表明したが、自民党内にも、事務局長解任を含めWHO改革を求める声がある。

 安倍晋三首相は17日の記者会見で、WHOについて「日本の分担金を削る、出さないということは全く考えていない。今はWHOを支えていかなければならない」と述べた。一方で「問題点、課題もあるのも事実だ。事態が収束した後に検証していくべきだ」と述べた。

 テドロス氏は1月末、各国が中国に対する渡航制限に踏み切るなか「不必要な渡航・貿易制限を行う理由はない」と述べ、「中国政府は感染拡大阻止に並外れた措置を取った」と中国賛辞を繰り返した。感染の抑え込みに比較的成功しているとされる台湾がWHOに加盟できていない背景にも中国への配慮があるとの指摘がある。首相は「政治的に中立ではないのではないか、という意見もある」と言葉を選んだが、自民党の山田賢司元外務政務官は産経新聞のテレビ電話による取材でこう語った。

「早くから人から人への感染が指摘されてきた。テドロス氏は危険性を世界に呼び掛けなければならないのに、中国をかばうかのような発言をして結果的に広げてしまった。政治を持ち込むのではなく、科学的・医学的な見地から対応を判断すべきだ。発言は不適切であり、解任に値すると思う」

 テドロス氏の出身地であるエチオピアも中国が巨額投資していることで知られているが、WHOに対する国内総生産(GDP)に応じた「分担金」と任意の「拠出金」の合計は、米国が1位で日本が4位、中国は9位だ。任意の「拠出金」が比較的少ない中国が大きな影響力を行使していることになり、トランプ氏は「米国民に対して不公平だ」などと批判している。

 米国が拠出金停止を表明した一方、中国は3千万ドル(32億3千万円)を寄付する方針を決めた。WHOに対する影響力の拡大を狙っているとみられる。

 菅義偉官房長官は15日の記者会見で「国際機関への拠出については、外交政策上の重要性や各機関の活動状況を踏まえながら判断をしている。適切で効果的な拠出のあり方について、不断に検討を行っていきたい」と述べるにとどめた。(沢田大典)

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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