2月22日に、NHK NEWS WEBの特設サイト「新型コロナウイルス」のメニューバーに台湾が中国と併記され「中国・台湾の状況」と表記されていることに対し、全日本台湾連合会は「武漢肺炎(COVID-19)の元凶は正に中国そのものであり、台湾とは一切関係ない」として併記の訂正を求め、台湾の外交部も2月23日、「不当な表記」だとして改善を求めた。在日台湾同郷会なども同様の抗議をしている。
その結果、NHKは2月24日夕方、特設サイト「新型コロナウイルス」の掲示名の一つ「中国・台湾の状況」の表記を削除して要求に応じた。なんとも素早い対応だった。
しかし、今度は武漢肺炎こと「COVID(コヴィット)19」への対応の中核にある厚生労働省のホームページが掲載している中国の地図に台湾を入れていることが発覚した。
この地図は全日本台湾連合会関係者が見つけ、同会は昨日(2月29日)夜、厚労省に抗議するとともに訂正を求め「厚生労働省『新型コロナウイルス感染症について』のウェブサイト内の中国の地図に、台湾を含めていることに、厳重に抗議する!」を発表した。同日、在日台湾同郷会も同様の訂正を求めた。
問題の地図は、厚労省のホームページ「新型コロナウイルス感染症について」の中の「中華人民共和国から入国される皆さま・中華人民共和国へ出国される皆さまへ 」に掲載されている。また、同じページの「厚生労働省 検疫所」にはこの地図を拡大して掲載している。
◆厚労省:中華人民共和国から入国される皆さま・中華人民共和国へ出国される皆さまへ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
◆厚労省:検疫所 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000594999.pdf
15年前、中学校の地図帳が台湾を中国の領土として取り扱い、また外務省のホームページ「各国情勢」で中国にカーソルをあてると、中国とともに台湾が同じ色で表示され、外務省の地図では台湾が明らかに中国の領土の一部として取り扱われていることに対し、本会は地図帳の発行元の帝国書院と東京書籍に訂正を求め、外務省にも訂正を求めた。
帝国書院と東京書籍は文部科学省の検定で合格しているのだからと訂正を拒否した。しかし外務省は、渋々ながら中国にカーソルをあてても反応いないように対応した。現在も外務省の「各国情勢」は、中国にカーソルをあてても中国が示されない。それは15年前の私どもの抗議の名残りだろう。
今回の武漢肺炎問題で厚労省は、ホームページの「中華人民共和国へ出国される皆様へ」において、外務省の「海外安全ホームページ」を紹介している。
ここの「東南アジア地域海外安全情報」では、地図中の「中国」という国名をクリックすると大きな中国だけの地図となり、そこに台湾は含まれていない。「危険感染情報」をクリックしても、中国全体が紫色(レベル2:不要不急の渡航中止要請)で示され、真ん中に濃い紫色(レベル3:渡航中止勧告)で湖北省全域と浙江省温州市が示されるだけで、そこに台湾はふくまれていない。
外務省はまた「周辺国・地域表示」でも、中国と台湾を完全に区別している。台湾をクリックすると「台湾の危険・スポット・広域・感染症危険情報を表示します。よろしいですか?」という表示され、OKをクリックすると「危険情報」はなにもない。
一方、中国をクリックすれば「中華人民共和国(中国)の危険・スポット・広域・感染症危険情報を表示します。よろしいですか?」と表示され、OKをクリックすると「現在,感染症危険情報が出ております」という「危険情報」が表示される。
◆外務省:周辺国・地域表示 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_009.html#ad-image-0
さらに外務省は、2月28日付で「新型コロナウイルス(日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国・入域後の行動制限)」を掲載し、「入国・入域後の行動制限措置が行われている国・地域」としてカザフスタン、リベリア、インド・ケララ州、中国などとともに台湾を紹介し、中国とはまったく別扱いしている。
◆外務省:新型コロナウイルス(日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入 国・入域後の行動制限) https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html
つまり、厚労省は外務省のホームページを共有しながら、外務省が中国と台湾をきちんと区別しているにもかかわらず、中国の情報を伝える地図に台湾を入れ、あたかも台湾が中国の一部であるように取り扱っている。
これまで中国(中華人民共和国)が台湾を統治したことはなく、台湾を自国領と主張するのは中国の政治宣伝以外のなにものでもない。事実、これまで日本は中国のこの主張を承認したことは一度もない。
新型コロナウイルス問題でも、台湾が中国の一部でないことはさらに明らかとなっている。厚労省がこのような地図を掲載していることは、中国が主張する「一つの中国」を承認しているとみなされかねない。これは、政府見解に反し、中国に危険なシグナルを送るとともに、日本人にも誤解を与えかねない重大なミス表示だ。
よって厚労省は、台湾を中国の一部と表示した不当な地図を早急に削除し、外務省と同じ地図を掲載するよう要望する。
皆さまも、全日本台湾連合会や本誌の主張にご賛同いただけるようでしたら、厚生労働省に「国民の声」を届けていただきますようお願いします。
◆厚生労働省:「国民の皆様の声」送信フォーム https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/getmail
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