23 台北の朝食店Part-3 台湾料理系の朝食店
台北市の朝食店として、前々回の【阿彰の台湾写真紀行】No.
21で紹介した豆漿店(中華式朝食店)、そして前回のNo.
22で紹介した西式早餐店的(台湾式洋風朝食店)の他に目立つ存在は、主に菜市仔(chhài-chhī-á:ツァイチィアー)と呼ばれる伝統的な朝市の中やその付近、そして、廟やお寺の付近にある朝食店(食堂や屋台の形態)である。元々は朝市に買い物に来た人や廟やお寺にお参りに来た人のために飲食店が集まったのであろう。営業時間はだいたい早朝6時前から午後の1時頃までである。
こういう店では極めて台湾らしい食べ物が販売されている。台北市内で台湾らしい食べ物が食べたければ、午前中にこの類の食堂や屋台へ行くのがいい。簡単な麺やビーフン料理、そしてその物配(mi̍h-phòe:ミィポエ=ご飯や麺類のお供にするおかず)として、茹でた豚の内臓類、青野菜などを販売する店が多いが、実は販売される料理は店によって様々だ。
たとえば以下のようなものがある。
涼麵(liâng-mī
:リャンミィ=一般的に戦後に普及したと言われる、ゴマだれをかけた常温の中華麺)と台湾式味噌汁(日本の影響)を売る店や壽司(sú-sih:スゥシッ)、つまり日本の影響を受けた台湾式の巻き寿司、いなり寿司の店、甜不辣(thiǎn-pú-lah:テンプゥラァッ=台湾式薩摩揚げを煮たもの)や
碗粿(oáⁿ-kóe:オァクエ=インディカ米を溶いて液状にしたものを蒸したもの)を売る店、そして肉糜(bah-môe:バァモエ)や鹹糜(kiâm-môe:キャムモエ)と呼ばれる細かい具が入った塩味の効いたお粥、清粥(Chheng-môe:チイェンモエ)と呼ばれる具が入っていない白粥と物配(mi̍h-phòe:ミィポエ=お粥のお供になるおかず)を販売する店だったり、油飯(iû-pn̄g:イウプン=水に浸したもち米を豚肉やシイタケなどと炒め、味付けしてから蒸した台湾式おこわ)や
肉羹(bah-kiⁿ/
bah-keⁿ:バァキィ/バァケェ)の店だったりする。
肉羹とは蓮藕粉(liân-ngāu-hún:レンガウフン=レンコンの粉)、蕃薯粉(han-chî-hún:ハンチィフン=さつまいもの粉)、太白粉(thài-pe̍h-hún:タイペェフン=片栗粉)などを使ってとろみを効かせた豚肉入りスープだ。豚肉の表面に魚のすり身を巻き付け、加熱した(片栗粉などの衣をつけて加熱しただけのものもある)“つみれ”のようなものを入れてあるが、豚肉自体もミンチにし、魚のすり身も加えて加熱したものを使っている場合もあるし、すり身も衣もつけていない豚肉を使う店もある。そして、これらの豚肉の加工食材自体を「肉羹」という名称で呼んでいることも多い。(壽司、甜不辣、碗粿、肉羹については以前、台湾の声【阿彰の台湾写真紀行】で紹介させていただいた。涼麵や油飯に関してはいつか機会があったら詳しい紹介を試みたい)
これら台湾らしい料理を提供する朝食店は、店によっては提供する料理の種類が非常に多いので、正午前に行って早めの昼食にすることもできる。しかし人気店である場合は、昼までに人気料理が売り切れてしまっていることも多いので、なるべく早い時間に行くことをお勧めする。
興味深いことにこれらの飲食店は伝統的な市場や寺廟の近くにあることや戦前から台湾本土系の住民が多く住む地域にあることが多いからなのか、店員さんもお客さんも台湾ホーロー語での会話が中心である。20歳代の若者やそれ以下の学生や子供、外国人に見られなかったら、おそらく店員さんや他のお客さんから台湾ホーロー語で話しかけられることが多い。中国語が少し混ざってチャンポンになることはあっても、中国語のみで会話する光景はあまり見かけたことがない。
—
編集部より:「阿彰の台湾写真紀行」では、台湾在住のデザイナー、『台北美味しい物語』著者である内海彰氏が撮影した写真とエッセイをお届けします。写真は末尾のリンクから取得することができます。
—
台湾の声
バックナンバー
http://ritouki-aichi.com/category/vot
登録/解除
http://taiwannokoe.com/register.html
Facebook
https://m.facebook.com/taiwannokoe
Twitter
https://twitter.com/taiwannokoe
YouTube『Taiwan Voice』藤井厳喜 x 林建良
※ぜひチャンネル登録をお願いいたします
https://www.youtube.com/channel/UCTzfqkSSN_86JN2yidU2lhQ
This message contains attachments that can be viewed with a webbrowser:
写真 1:台北で人気がある朝食店の入口
写真 2:台北で人気がある朝食店の店内
写真 3:朝市の中の朝食店
写真 4:朝食店で売られる内臓
写真
5:肉糜(bah-môe:バァモエ=肉入りのお粥)と紅燒肉(âng-sio-bah:アンショウバァッ=紅麹を混ぜた衣をつけて揚げた豚肉)
写真
6:肉糜(bah-môe:バァモエ=肉入りのお粥)と蚵仔酥(ô-á-so͘:オアソォ=牡蠣の揚げ物)
写真
7:清粥(Chheng-môe:チイェンモエ=白粥)と角豆(kak-tāu:カッタウ=オクラ)や麵麶(mī-thi:ミィティー=グルテンミート)、素腰子(sò͘-io-chí:ソォイオチィ=コンニャクを加工した腎臓もどき)など
写真 8:豬心麵(ti-sim-mī
:ティーシムミィ=豚の心臓入り麵)
写真
9:腰子(io-chí:イオチィ=腎臓)と腰尺(io-chhioh:イオチオッ=すい臓)
写真10:生腸(seⁿ-tn̂g:雌豚の卵管や産道)と豬肺(ti-hì:豚の肺)
写真11:頭骨肉(thâu-kut-bah:タウクッバァッ=豚の頭の肉)
人気があるのですぐに売り切れる
※この記事はメルマガ「台湾の声」のバックナンバーです。
講読ご希望の方は下からお願いします。