――心胆を寒からしめる言説か、はたまた目くそ鼻くそ・・・か
陳破空『全世界都不了解 中國人』(前衛出版社 2018年)
ここらで橘を小休止。趣向を変え、『全世界都不了解 中國人(世界中が分からない 中国人)』を取り上げてみた。著者の陳破空(本名は陳勁松)は1963年に四川省で生まれ、湖南大学を経てアメリカに留学(コロンビア大学)。本書は台湾で出版されている。
開巻冒頭に置かれた「台湾人は中国人のマイナスの性格をどう見るか。対岸の火事か、それとも鏡に映った姿か?」と題する序文に、「中国人のマイナスの性格を書き連ねたら1枚のA4用紙では書き尽くせない」とある。そこで著者が列記する極く普通の中国人の悪しき言動を拾ってみた。原文の漢字のままでも意味が想像できそうなものだけを“厳選”したうえで、そのうちの極く一部を以下に書き写しておく。
集体而無団体、謙恭而無自省、見風転舵、投機取巧、見利忘義、口是心非、欠乏公徳、見銭眼開・不擇手段、唯利是図、冷血無情、熱衷内闘、人格分裂、崇洋媚外、貪生怕死、名利薫心、奴性十足、撒?成性、弄虚作假、死不認錯、権銭復興、貪腐崛起、卑怯、欺瞞、詐僞、無恥、受賄、自私自利、講大話・空話・?話、大声説話、喧譁、不排隊、乱推乱擠、不講衛生、随地吐痰、乱?拉?、随地小便、無視交通信号、出言不遜、浮躁、盲目、貪婪、素質低下、作風覇道、不務正業、出入賭場、人群擁擠、人声鼎沸、挙止浮躁、機会主義、分裂人格、只有自我・没有他人・更無視環境、不習慣反省自己、粗俗不堪、独裁・腐敗・反文明、行為粗野・言語粗野、集体虚偽・集体造假、盛産黒心食品、不守信用、心胸狭隘、大発横財・腰纏万貴、病態的虚栄心、物欲�流・人慾�流・肉慾�流、淫乱、腐敗、濫権、謀殺、銭色交易、認銭不認人、説話不実・誇大其詞、粗魯無礼、狂妄自大、猥瑣小民、品味低下、言行粗魯、�耀権勢・�耀金銭・�耀学歴、糟雜之声・喧嘩之音、行為粗野・語言粗野・語言暴力、習慣撒?・随口?話、集体虚偽・集体造假、崇拝財富・羨慕富人、淫乱事故頻発・氾濫成災、中国富人・為冨不仁、撒銭迎賓、遮掩亡国之恥、願人窮・恨人富、不戦自潰・多次亡国、恃強凌弱・欺軟怕硬、人性冷漠・良心喪失、双重人格・分裂人格、道徳淪喪・信用缺失・・・と、ウンザリするほどにワンサカと止め処がない。
些か疲れたので話題を転じ教科書の内容に移ると、満紙?言(全頁が徹底してウソ)、満紙荒唐(徹底してデタラメ)、歪曲歴史(歴史の捻じ曲げ)・・・まだまだ続くが、これだけで十分だろう。それというのも、教科書は独裁政権の自己正当化洗脳教育の手段だから。
次は共産党政権の最高幹部連の講話からの引用である。一点の非の打ちどころのないリッパな内容だが、当然のように自らが犯した底なしの不正が露見して後に逮捕されている。
「私の最大の欠点は清廉潔癖であることです」。
「我われはダラダラした役立たずの幹部になってはいけない。もっといけないのは、人々を騙す悪徳幹部であり、権力を笠に着て私利私欲を満足させ、目の前に利益がぶら下がったら本来の務めをわすれるダメ幹部だ」。
著者は「台湾人の国民性」について、「素晴らしいところは日本人のようで、劣ったところは中国人のようだ」と。ここまで読むと著者の“慧眼”に拍手喝采したくもなりたいが、どうやら彼も“徹頭徹尾中国人”だった。「中華文化は本来が素晴らしいもの。それは中国大陸では消え去ったが、台湾人の立ち居振る舞いに現れている。台湾の人々は『中国人以上に中国人だ』」。「春秋戦国以前の中国人は信義・勇武に富んでいたが、秦の統一以降、ダメになった。諸悪の根源は専制政治だ」。
――おいおい、それじゃあ秦から現在の共産党政権までの“大一統”の二千数百年は中国ではないのかい! とツッコミを入れたい。やはり中国と中国人をクサしてメシを食っている中国人に要注意である・・・「大患は忠に似たり」と、昔の人は言いましたヨ。《QED》