台湾の世論調査(9月26日発表の品観点民調)では、王氏が出馬したときのケースを発表していて、蔡英文氏:37.8%、韓國瑜氏:24.9%、王金平氏:6.7%だった。王氏が親民党から出馬できたとしても、この支持率では泡沫候補扱いを免れない。当選はほぼ不可能だったことから、出馬にはおそらく別の狙いがあったのだろう。
それはさておき、宋楚瑜氏が総統選挙に出馬するとなると三つ巴の戦いとなるが、宋氏自身は当選するとは考えていないだろう。昨日の本誌で、中国国民党が副総統候補に張善政・元行政院長を起用することを伝えた際に、蔡英文氏:41.2%、韓國瑜氏:25.6%、宋楚瑜氏:8.4%という、蘋果日報の11月11日の世論調査結果を紹介した。
蔡氏と韓氏の支持を少しずつ取る形ではあるものの、王氏と同様に泡沫候補であり、大勢にあまり影響はなく、宋氏の出馬はやはり立法委員選挙向けではないかと思われる。
親民党は2016年1月16日に行なわれた立法委員選挙で、得票数が79万4,838票(6.52%)だったことから比例代表で3人の当選者を出している。得票数では時代力量の74万4,315票(6.10%)を上回ったものの、選挙区での当選者がいなかったことから第4党となっている。
現在、秘書長の李鴻鈞氏をはじめ3人の立法委員(比例代表)を擁していて、2020年の立法委員選挙には選挙区に7人の候補者(新北市:1人、新竹県:1人、台中市:4人、高雄市:1人)を立てる予定だという。
親民党と自身の政治家としての生き残りを賭け、主席の宋楚瑜氏が自ら総統選挙を戦うことで得票数を伸ばして比例代表の当選者を増やし、あわよくば選挙区で立法委員を当選させたいということで立候補するのだろう。
ちなみに、台湾の立法委員の任期は4年、定数は113人。選挙区から73人、比例代表および海外華僑枠から34人の合計107人を選出し、また原住民は平地と山地に分かれ、それぞれ3人ずつの計6人を選出する。
また、台湾の立法委員選挙は、基本的に小選挙区制と比例代表制(5%以上の得票を得た政党に議席配分:5%ルール)を取り、独自の制度として海外華僑枠があり、原住民は中選挙区制を取っている。また、比例代表当選者の半分以上は女性候補でなければならないという割当制度(クオータ制)を取っている。
—————————————————————————————–国民党重鎮・王氏、出馬断念 親民党の宋主席が立候補へ=総統選【中央通信社:2019年11月12日】
(台北中央社)最大野党・国民党重鎮の王金平氏(78)は12日、台北市内で会見を開き、来年1月の総統選への立候補を断念する意向を明らかにした。候補擁立資格を持つ小政党、親民党からの出馬を検討していたが、同党の宋楚瑜主席(党首)が参戦する考えを固めたためだという。宋氏が出馬すれば、再選を目指す民進党の蔡英文総統と国民党の候補、韓国瑜高雄市長の三つどもえの戦いとなる。
王氏は、現職の立法委員(国会議員)で、李登輝政権末期の1999年から約17年にわたって立法院長(国会議長)を務めた。総統選の公認候補を決める党内予備選に名乗りをあげたが、当初出馬表明をしていなかった韓氏を予備選に参加させる方針を党が決めたことに不満を示し、6月に辞退した。
その後も総統選出馬を目指していた王氏。予備選で敗れ、国民党を離れた鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘・前董事長(会長)や柯文哲・台北市長との連携の道を探りつつ、親民党の協力を得るため動いていた。
(劉冠廷/編集:楊千慧)