1年2ヵ月で3ヵ国との断交の陰には、いずれも中国が絡んでいる。米国の国務省は、台湾とエルサドバトルが断交した8月21日、「深い遺憾を表明し、エルサルバドルとの関係を見直している」と表明し、9月7日にはパナマ、ドミニカ、エルサルバドルの大使や代理大使を召還している。
一方、連邦議会でも、台湾との断交は米国にとっても脅威という認識の下、9月4日、共和党のコリー・ガードナー上院議員とマルコ・ルビオ上院議員、民主党のエド・マーキー議員とボブ・メネンデス議員とが超党派で、「台北法」(Taiwan Allies International Protection and Enhancement Initiative Act、略称:TAIPEI Act)を議会に提出していた。
この法案は、台湾に不利となる行動をとった国に対し、外交関係のレベルの引き下げや、軍事的融資などの支援の一時停止または変更などの措置をとる権限を米国務省に与える内容だと報じられている。
法案が提出されて1年。台湾は9月16日にソロモン諸島、9月20日にキリバス共和国と断交の事態になった。ようやくこの法案が動き出し、9月25日、上院外交委員会は「台北法」を可決したという。
—————————————————————————————–米上院外交委、台湾の外交関係を安定させる法案を可決 総統府が感謝【中央通信社:2019年9月26日】
(ワシントン 26日 中央社)米上院外交委員会は25日、中華民国台湾の外交関係を安定させることを目的とした法案「台北法」(TAIPEI Act)を可決した。これを受け、総統府は26日、中国が外交圧力で台湾の孤立化を図る中、米国の温かい支持を感じ取ったとする感謝のコメントを発表した。
可決された法案の詳細は現時点では公開されていないが、事前に公開された内容では、各国との交渉を通じて台湾との国交維持や非政府間交流の強化を相手国の政府に働き掛けるよう米政府に求める内容が盛り込まれている。また、台湾との関係見直しを検討する国に対しては、外交関係のレベルの引き下げや停止、軍事的融資を含む支援縮小措置をとる権限を米国務省に与えることを提言している。
同法案を提出した共和党のコリー・ガードナー上院議員は、ソロモン諸島とキリバスが今月立て続けに台湾と断交した例を挙げ、台湾の民主主義を絶え間なく脅かす北京当局は「重大な脅威」だと指摘。米国は常に台湾と共にあると述べ、香港の現況を見ても、もし米国が立ち上がらなければ台湾が今後どうなるか分かると警鐘を鳴らした。
法案は、上下両院の本会議を通過し、大統領が署名することで発効する。
(徐薇テイ、温貴香/編集:塚越西穂)