*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部で付したことをお断りします。
◆韓国に半導体製造部品や部材の輸出制限を宣した日本の理由
G20が終わり、その足で韓国を訪問したトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長との電撃的な会談が行われるなど、大きな出来事が立て続けにあった1週間でした。
G20では安倍首相は文在寅大統領とわずか20秒程度の握手と挨拶だけで終わり、首脳会談は開かれませんでした。そしてG20閉幕後、日本政府は韓国に対する半導体部品の事実上の禁輸措置を取りました。
これは、安全保障上の友好国と認定して先端材料などの輸出許可申請を免除している外国為替及び外国貿易法(外為法)上の「ホワイト国」から韓国を除き、さらにはテレビやスマートフォンの有機ELディスプレイや半導体製造過程に必要なフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目について、韓国を包括輸出許可制度の対象から外し、個別に1件ごと許可を受けなければならなくしたというものです。
経済産業省のホームページには、この措置を行う理由として、
<輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されていますが、関係省庁で検討を行った結果、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況です。こうした中で、大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、輸出管理を適切に実施する観点から、下記のとおり、厳格な制度の運用を行うこととします。>
と、はっきりと韓国との関係悪化が原因だと書いています。
「徴用工問題」に対して、日本がついに具体的な報復措置に出たことについて、韓国メディアは一様に衝撃をもって伝えています。
とくに韓国を包括輸出許可制度の対象から外した上記の3品目のハイテク素材については、日本の生産が世界市場の70〜90%を占めており、他国から輸入することも難しいものです。もしも日本が輸出を遅延または中止すれば、韓国経済が受ける打撃はファーウェイ制裁問題の10倍になるとも言われているそうです。
韓国での3品目の在庫は約1カ月分であり、日本が輸出を遅らせれば、8月から半導体や有機ディスプレイの生産に支障をきたすことになると言われています。
◆米国のファーウェイ取引容認でもろくも崩れた韓国の皮算用
G20では、トランプ大統領が中国への追加関税発動を当面見送り、ファーウェイとの取引を容認する発言も行いました。大統領選挙を来年に控え、急激な対中制裁措置はアメリカ経済にも大きな影響を与えるということで、一時的に規制を緩和したものと思われます。
実は韓国の一部からは、アメリカのファーウェイ制裁は韓国にとって短期的にプラスになるという声がありました。ファーウェイがトップを走っていた5G設備の分野で、今年4〜6月にはサムスン電子がシェア首位に躍り出たと報じています。また、スマートフォン分野でも、ファーウェイに奪われていたシェアを奪還すると皮算用をたてていました。
それがもろくも崩れ去ったうえに、日本からの制裁です。
もっとも、アメリカの対中制裁ですが、トランプ大統領よりもむしろアメリカ議会のほうが強硬なのです。すでに国防権限法などで、議会はファーウェイ排除を決定していますから、トランプ大統領が取引を容認しても、議会が容認しない可能性もあります。
とはいえ、ただでさえ悪化している韓国経済ですから、韓国財界にとっても、気が気ではないでしょう。
日本は、まだ韓国に対してはその貿易上の地位を変更しただけで、輸出制限はしていませんが、いつでもそれが可能となるということになった点で、韓国に大きなプレッシャーを与えることができるようになります。
◆「強制労働させられた」と難癖をつけてカネをむしり取ろうとする「徴用工」
韓国のいわゆる「徴用工訴訟」では、日本製鉄や三菱重工業などが相次いで敗訴しており、現在は960人の原告から15件の訴訟が提起されており、72社の日本企業が「戦犯企業」としてターゲットになっています。
韓国政府は、日本時代に徴用された韓国人は約22万人、「戦犯企業」は275社にのぼるとしていますから、今後、とんでもない数の訴訟が提起される可能性があるわけです。
いうまでもなく、「徴用工」というのは、ほとんどが自分の自由意思で日本に渡るか、国家総動員法に募集して日本企業で働いた人たちですが、「強制労働させられた」と難癖をつけて日本企業からカネをむしり取ろうとしているのです。
当然、今回の日本の措置は、これを牽制するものです。
韓国では、3回目の米朝首脳会談について、今回は文在寅大統領は大人しく黒子に徹していました。なにしろ、6月27日に北朝鮮から「米朝関係を仲介するかのように振る舞って自らの価値を上げようとしているが、そんな仲介はいらない」と言われてしまったのですから、表に出るに出られなかったのでしょう。
文在寅は米朝首脳会談には出席しなかったものの、3者が顔をあわす場面がつくられたことで、一応の体面は保たれました。
しかし、G20での中韓首脳会談では、中国側から暗にTHAAD問題やファーウェイ問題で、アメリカ側につかないようにプレッシャーを与えられていました。
文在寅大統領は、G20では中国の他に、ロシアやカナダ、アルゼンチン、オランダ、インドなどとも会談したということで、大統領府高官は「韓国は阻害されていない」などというコメントを出していますが、そのようなコメントを出すということ自体が、やはり孤立化の懸念が出ている証拠でしょう。
日本の制裁で韓国経済はますます瀬戸際に追い込まれていくことになりますが、はたして文在寅大統領がきちんとした対応をするかどうかは微妙です。急速な最低賃金の引き上げを行い、韓国経済の悪化を招いた張本人が文在寅大統領であり、一部では、「北朝鮮との統一のために、韓国経済を北朝鮮のレベルに合わせようとしている」とまで揶揄されているからです。
◆韓国のためにもなる「絶対に譲歩しない」という日本からのメッセージ
韓国政府は「徴用工問題」の解決のために、「日本企業と韓国企業が金を出し合って基金を作る」といった案を出してきましたが、日本政府に即座に否定されています。もともとこの案が韓国国内で浮かび上がったとき、「発想自体が非常識」と否定したのは、ほかならぬ韓国政府でした。
にもかかわらず、この案を韓国政府が採用し、しかも文在寅大統領までが自画自賛するのですからわけがわかりません。どうせこの案を日韓で採用したとしても、慰安婦合意同様、次の政権で否定されることになるのではないでしょうか。「徴用工」の原告側からも、事前の相談がなかったと、批判される始末です。その点も慰安婦合意と同じです。
もしも日本企業に実害が出れば、日本は粛々と韓国に対して制裁を行うべきです。もしも手心を加えるならば、「いざとなれば日本は折れる」という、いつものような間違ったメッセージを送ることになります。日本は絶対に譲歩しないというメッセージを送ることが、かえって韓国のためにもなるのです。
◆中国と韓国で揉めごとが多い理由
大中華も小中華も「もめごとが多い」民族性であることは、よく知られています。隣近所から国家、民族間に至るまで、「揉めに揉めて」感情的になることが多いのです。中華世界では「朋党の争い」「士禍」などの内輪揉めも有名です。
外交戦略としては「遠交近攻」がよく知られているように、近隣諸国を敵に、遠国を味方につけるというものもあります。とはいうものの、遠い国と衝突することも少なくありません。
たとえばEUでは、ドイツ人の韓国嫌いがよく知られています。たとえば2010年にイギリスBBCが公開した世界世論調査では、韓国が世界に及ぼす影響について、ドイツでは53%が「否定的」であり、これはヨーロッパでもっとも高いパーセンテージでした。
ちなみに、当時の日本は否定的評価よりも肯定的評価が多く36%が韓国に対して肯定的でした。いかにドイツの否定的な答えが多かったかがわかります。
これら大中華と小中華で揉め事が多い理由について、中華思想を元凶だとする学者も少なくありません。中華でも「大」よりも「小」のほうがその傾向が強いという指摘もあります。
では、なぜ中華思想が身についたのかといえば、国内では内ゲバの殺し合いや汚職、人騙しが横行しているため、自己中心と他人への優越感がないと、中華世界では生きられないからです。
この歴史的な文化風土から、まず「小中華」の韓国、朝鮮を知ることが重要です。
◆友好国待遇を期待しながら反日を止めない韓国の自己中
いわゆるレーダー照射、徴用工、国会議長の天皇謝罪要求発言など一連の反日「事件」から、日本人のあいだでは「国交断絶」の声まで出ています。日本政府の「対韓国半導体部品3品目輸出」の優遇枠から外すと公表しただけで、韓国は大騒ぎで「日本が悪い」とばかりに非難轟々です。
ここで私が連想するのは、アメリカが中国への最恵国待遇をやめ、通常の国とみなして関税をかけた事態です。
韓国も中国も「優遇」を頼りにして、自分たちは例外とみなされないとやっていけない国ですから、経済的には自立できずに、他国におんぶに抱っこを求めるのです。日本からすれば、友好国待遇を期待しながら反日を止めないというのは、あまりにも甘い自己中心の考えです。
このようなことは、韓国社会以外には絶対に通用しないことです。
もちろん韓国国内にもさまざまな意見や思惑があります。朝鮮半島は、時代によってガラッと逆の方向に動き出すような史実も多くあります。たとえば千年の仏教国家が李氏朝鮮時代になると一変して反仏教の朱子学国家になったこともあります。いわゆる「日帝36年」中、ことに1930年代には、半島のほとんどの朝鮮人が日本に対する「順民」になりました。
日本は、いったいなぜこの民族はそこまでがらりと激変できるのかをよく考え、対韓政策を考えるべきでしょう。