中央通信社の記事によれば「米台関係については、双方の実務関係のあり方を定める『台湾関係法』と台湾への武器供与に終了期間を設けないことなどを公約した『6つの保証』を拠り所にすると明記」しているとういう。また、「台湾旅行法」に基づいた米台高官の交流促進や人道支援分野における協力拡大なども提唱されているそうだ。
米国はこれまで台湾との関係について説明するときは、米国の「一つの中国」政策として「台湾関係法」と米中間の3つの共同コミュニケ(1972年2月28日の上海コミュニケ、1979年1月1日の国交樹立に関するコミュニケ、1982年8月17日の第2上海コミュニケ)を挙げることを常としてきた。
しかし、トランプ氏が大統領選に当選した2016年、7月6日に米国連邦議会の上院が「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する第38号両院一致決議案」を可決して以降は、「台湾関係法」と「台湾に対する『6つの保証』」が米台関係の基礎と説明するようになり、今では「米中間の3つの共同コミュニケ」に言及することはほとんどない。
「2020年度国防権限法案」も、米台関係は「台湾関係法」と「台湾に対する『6つの保証』」を拠り所とにすると明記しているというから、米国の対台湾政策は明らかに変わった。
ちなみに、国防権限法(NDAA:National Defense Authorization Act)は国防授権法とも呼ばれ、米国の国防プログラムの承認と予算上限額を決定するもっとも重要な法律の一つで、毎年成立している。
—————————————————————————————–米上院、国防権限法案を可決 米艦の台湾海峡定期通過を支持【中央通信社:2019年6月28日】
(ワシントン 28日 中央社)米上院は27日、2020会計年度の国防権限法案を賛成多数で可決した。同法には、台湾への武器売却のほか、米軍艦による定期的な台湾海峡通過を支持する内容などが盛り込まれている。
米台関係については、双方の実務関係のあり方を定める「台湾関係法」と台湾への武器供与に終了期間を設けないことなどを公約した「6つの保証」を拠り所にすると明記。台湾との国防や安全保障における連携を強化するべきとする米国の立場が示された。
また、国防長官への提言として、安全保障分野での台湾との交流強化を政策として推進するべきと記された。実戦訓練や軍事演習を台湾と合同で実施することで台湾の十分な防衛力確保を促すとし、これが両交戦者間の軍事力などが大幅に異なる非対称戦における台湾の作戦能力に見合っていると強調している。このほか、「台湾旅行法」に基づいた米台高官の交流促進や人道支援分野における協力拡大なども提唱された。
同時に、米と同盟国、パートナーが国際ルールが認めるいかなる場所でも飛行、航行できる約束を守る姿勢を示すとして、米軍艦が引き続き定期的に台湾海峡を通過するべきとの提言がなされた。
今後法案は下院で審議される。上下両院の法案の内容が異なる場合、下院通過後に一本化に向けた調整が行われ、両院が一本化法案を可決すれば、トランプ大統領の署名を経て成立する。
(江今葉/編集:塚越西穂)