両院とも全会一致で可決しているため、トランプ大統領が拒否権を行使しなければ自動的に発効し、トランプ大統領が署名しても成立する。
米国が今年3月16日にトランプ大統領が署名することによって成立させた「台湾旅行法」(Taiwan Travel Act)も両院が全会一致で可決していたことから、自動的に成立することになっていたが、トランプ大統領は署名期限の3月16日に署名して成立させた。
議会も大統領も、また政権中枢にはペンス副大統領、ポンペオ国務長官、マティス国防長官など対中強硬派がそろっている布陣からも、中国のルールに基づかない覇権的な行動を抑制する点で一致していることから、恐らくトランプ大統領は署名して成立させるとみられる。
ちなみに、「アジア再保証イニシアチブ法案」の内容については先に本誌でも紹介しているが、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指し、この地域における米国の国益(安全保障、経済、価値)促進を定めている。
具体的には、日本やオーストラリアなど同盟国との防衛協力強化とインドとの戦略的パートナーシップの強化、台湾への武器売却や高官訪問などのコミットメント、2国間や多国間の新たな貿易協定の交渉権限を大統領に付与し、人権や民主的価値の尊重など米国がこれまで支持してきた価値観を促進してゆくことを定めている。
米国の底力をまたもや見せつけられた感があり、台湾は、この法案が共和党のコリー・ガードナーなど超党派により4月の上院提案時から「米国の友人に感謝」する旨を外交部が発表している。
翻って日本は、台湾を対象とした国内法が一つもない。台湾有事に際して日本の国益が大きく損なわれることは目に見えている。本会が提唱している日本版・台湾関係法、すなわち「日台関係基本法」あるいは「日台交流基本法」を制定し、日米同盟に悖らない独立国としての気概を示してもらいたいものだ。
————————————————————————————-米議会、台湾支持の法案を可決 外交部が関係深化に意欲【中央通信社:2018年12月18日】
(台北 18日 中央社)台湾への定期的な武器売却や高官の台湾訪問などを提唱する内容が盛り込まれた「アジア再保証イニシアチブ法案」(ARIA)が12日までに米議会で可決された。外交部(外務省)は18日、米議会に謝意を表し、各分野における台米のパートナーシップ強化に意欲を示した。
同法案は米国が「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指し、日本や韓国、オーストラリア、東南アジア諸国との安全保障や経済における連携を強化するもの。台湾については、断交後の両国関係のあり方を定めた「台湾関係法」と「台湾に対する6つの保証」にのっとった定期的な武器売却のほか、今年3月に成立した「台湾旅行法」に基づく高官の台湾訪問などを大統領に促している。上院を今月4日、下院を同12日、それぞれ全会一致で通過した。
外交部は、米議会で台湾旅行法に続き、台湾に友好的な法案がまた一つ可決されたことは、台米関係強化や地域の平和安定が超党派で支持されていることの表れだと指摘している。
(侯姿瑩/編集:塚越西穂)